23 : 平等…だけど君は特別 寒い外気が俺を包み込む。何故俺がそうしているかというと、今日がさくらの試験当日だからだ。部外者である俺は会場内に踏み入ることは出来ず、外で終わるのを待ってる、ってわけだ。 もう何度目かわからない時計を確認する行為。さっき見た時間からまだ五分しか経ってないじゃないか。 首に巻いたマフラーで口元まで覆った。それにしても寒い。白い息が口から吐かれる。そんなに寒いんだったら何処か近くのコンビニで待っていればいいじゃないか、と思われるかもしれないがさくらが頑張っているときに俺だけぬくぬくと暖まっているのは気が引けた。それに出来るだけさくらの近くにいたかった。もう一度腕時計を見る。 「(終了まで後三分…)」 さっきの時間から二分しか経っていなかった。試験を受けているのはさくらの方なのに俺の方が落ち着きがないな、そう思って少し笑みを浮かべた。さくらが来たらどうしようか。まずはお疲れ様と云って頭を撫でてやろうか。あるいは名前を呼んで抱き締めてやろうか。 そのときだった、試験終了のチャイムが鳴ったのは。少ししてざわざわとした雰囲気を纏わせながら沢山の生徒が出て来る。何処かにいるであろうさくらを探してきょろきょろと視線を動かした。 「―――…さくら!」 雑踏に紛れ込んでいる中からさくらを見付けて呼び寄せる。さくらは小走りで近寄って来て笑顔を見せた。 『銀八先生!』 平等…だけど君は特別 (さくらだったらすぐに見付け出せる) [しおり/戻る] |