教師と生徒の恋模様 | ナノ



20 : 傷ついてなんかいない


『べ、別に傷付いてなんかないですし』
「…視線逸らすなよ」
朝、銀八先生に会った途端生徒指導室に拉致された。そして昨日の誤解を解かれてる、ってわけだ。昨日、銀八先生と竹内先生が一緒にいたのは生徒の成績の話をしていたからだそうだ。それを見た私は誤解して店を飛び出して…。本当は銀八先生も追い掛けたかったらしいけど、唯の教師の自分が追い掛けたら怪しまれるから、という理由で追い掛けることは出来なかった、というわけだ。それを聞いて仕方ない、と思った。先生は教師で私は生徒。誰かにこの関係を知られるのはまずいから。だから我慢しなくちゃいけない。それでも、それでもたまにほんの少しだけ、みんなと同じように普通に付き合いたいと思ったことはある。休日デートとか一緒に登下校とか学校でいちゃいちゃしたりとか。そういうのに憧れてしまうんだ。私が先生に会えるのは学校で。しかもまわりの目を気にしながらだから。だから不安になる。先生にはもっと大人な女性があってるんじゃないかとか。
だけど、先生が私といる度に頬を染めるのを知っているから。それが嘘じゃないと思っていたいから。
『私は先生を信じてますから。だから先生が何もなかったって云うなら気にしません』
「さくら…」
『でも、少しは怒りますよ?』

傷ついてなんかいない
(信頼はしているけど私だって不安にはなります)

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