18 : どっちが大人か分からない 「は?合コン?」 わざわざ俺のところに来て何を云い出すかと思えば、なんでも、野球部の試合の打ち上げに参加しないかとマネージャーから誘われたらしい。 『合コンと云うか、部活の打ち上げに参加しないかって誘われちゃいまして』 下を向きながらもぞもぞと動くさくら。いや、可愛いよ?可愛いけどさ、お前が行く必要性とかないだろ? 「なんで野球部?」 『マネージャーの三人と友達なんです。そしたら人数多い方が楽しいからという理由で私も誘われました』 「…男だらけだろ?」 『…まあ野球部ですから』 「やっぱ行かせらんねェ」 さくらを抱き締めれば慌てたようにじたばたした。離さないようにぎっしりと抱き締める。 「そんな危ないとこ、行かせられるわけねェだろ」 『だ、大丈夫ですよ!他のマネージャーの子も一緒ですし、何より私なんか相手にしませんって』 「お前は可愛いし、それは俺が一番よく知ってるから心配になんだよ」 顔から火が出るんじゃないか、ってくらいさくらの顔が真っ赤になった。さくらを抱き締めていた腕を解いて、下を向いてしまったさくらの頭を数回ぽんぽんと撫でる。 『…子供扱いしすぎです、』 「そーか?」 勢い良くさくらが顔を上げたと思ったら少し強く白衣を引っ張られ、そのまま近付く顔。唇の横にある微かな温もり。それが何か理解したとき、俺の顔はさっきのさくらと同じように真っ赤に染まった。 『わ、私が好きなのは銀八先生だけですから…!心配しなくてもちゃんと銀八先生のところに帰って来ます!』 ばたばたと慌ただしく去って行くさくら。その後ろ姿を見ながら口元を手で覆った。 どっちが大人かわからない (やべ、にやけが治まんねェ) [しおり/戻る] ×
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