17 : 実はモテる教え子 なんかさくらって最近可愛いよな、その台詞はうちのクラスだけじゃなく学年中を回った。俺本気で狙っちまおうかな、本気かよー、相手にもされないんじゃね。小声で話しているんだろうが、生憎全て聞こえている。俺の授業の最中に何話してやがんだ、と思った。 「山田、此処の問題解いてみろ」 嫌がらせの為にさくらのことを可愛いと云っていた生徒を当てる。そいつは顔をしかめながら席を立った。 「うわ、ざまあ」 「随分余裕そうだなァ、倉木。お前はその横の問題」 「最悪すぎんだろ」 一緒に喋っていた生徒も当てた。悩んでいる姿に少しの優越感。大人気ない?そんなのわかってる。もしさくらのことを狙っている全員の前でさくらの腰を引き寄せて手を頬に添えてその唇を塞いでももこは俺のだから手を出すな、と云えたのならば。もし俺が教師という立場じゃなかったら、簡単にそれが出来ただろう。それが出来なくてどうにももどかしい。 「先生、出来ましたー」 「よし、戻っていいぞ」 もし俺が教師じゃなかったら、 実はモテる教え子 (さくらと出逢うことはなかったんだろうか) [しおり/戻る] ×
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