11 : 名前で呼べず、あだ名で君を 「(おい、おいおいおいおいおい!あれってさ、告白―――だよな?)」 カアアアっと顔が熱くなって思わず口元を手で覆った。間違いじゃ、ねェよな?さくら、確かに俺に告って、 「(やっべェ、超嬉しい)」 告ってとっとと帰っちまったさくらを呼び止めれば良かったのか。だけど呼び止めたとこで俺はアイツになんて伝えた?まさか教師の立場も忘れてイエスと答えたのか?それは、あまりにも無謀なんじゃないか。俺は教師だぞ?生徒を正しい道に導くのが役目だぞ?そんな俺が生徒に手ェ出した、なんて。 「あー…!」 「煩いネ。男だったらぐだぐだ考えるよりも行動するヨロシ」 「―――!?か、神楽!おま、いつから、」 「こっちは気を効かせて寝ててやってたってのに男の方がヘタレだから駄目ネ。好きだったら強引にチューぐらいするべきヨ」 むくっと起き上がった神楽は俺に鋭利な言葉を投げ掛ける。気を効かせて寝てたんじゃなくてまじで寝てたんじゃねェのかよ!?それにチューって…! 「好きだったら少しくらい強引になるべきヨ。女はそのくらいじゃないと不安になる、マミー云ってたネ」 確かに、さくらは泣きそうな顔してた、な。まさかコイツに気付かされるなんて考えてもなかった。神楽の頭をポンポンと数回叩く。 「お前、今日の補習は見逃してやるよ」 「やったネ」 「今日だけだからな!明日もちゃんと授業受けてなかったら残すぞ」 「はーい。早く追い掛けるヨロシ。ももこ泣かせたら銀ちゃんぼこぼこにするからナ。覚悟しとけヨ」 「おー。泣かせる予定なんてねェかんな」 さくらを捜して俺は駆け出した。 名前で呼べず、あだ名で君を (見付けた背中にももこ、なんて呼び止められない) [しおり/戻る] ×
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