甘やかな腕の中でおやすみ






植物園で明日の授業に必要な薬草を探していたらマレウス先輩と遭遇した。これを探しているんです、と配られたプリントを見せると、その薬草がある場所を教えてくれる。

「ありがとうございます」
「これくらい何ともない」

では、と去っていくマレウス先輩を見送り、教えてくれた場所へと進み薬草を摘む。
すると、奥の方からカサッと音が聞こえた。誰かいるのかな、と少しだけ歩いて覗き込めば、そこにはレオナさんが寝転がっていた。目を閉じているので寝てるのかな?と近づくと、耳がピクっと動き、ゆっくりと目を開けてこちらを見てくる。

「……トカゲくせぇ」

くん、と鼻を鳴らしたかと思うと嫌な匂いだったのか皺を寄せる。トカゲ、とは?そして腕が伸びてきたかと思うと力強く引かれ、先輩の上に倒れ込んでしまう。

「あのっ……!?」
「うるせぇ、黙ってろ」

ごろん、と今度は横を向き、私は先輩の腕の中で抱き枕状態。逃げようにも先輩の腕が背中に回って抑えつけられているし、抜け出せない。

顔が先輩の胸元にあたるし、香水なのか良い匂いがする。先輩に触れられて緊張しっぱなしだし、これだけ近いと私のドキドキが先輩に伝わってしまうんじゃないかな。

「くっ、」

頭の中でぐるぐる考えていると、先輩が声を漏らす。かすかに震えているので、たぶん笑ってるのだろう。

「何もしねぇから大人しくしとけ」
「何も、ってもうしてるじゃないですかっ」
「これくらい、した内に入んねぇだろ」

寝るぞ、と先輩は言うが、あと数分で授業が始まってしまう。これはサボれと言うことか?とリドルくんに叱られる未来を恐れつつ、説教されるなら先輩も一緒だと道連れにすることを決意し、すぅすぅと寝息をたてる先輩の腕の中で私も目を閉じた。

起きたらお詫びとして先輩にも薬草の採取手伝ってもらおう。


title by 箱庭様


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