悪戦苦闘の11時

「よし! 次はティファに送ろう! はい、これティファのメールアドレス」

「勝手に私に教えてもいいのか?」

「ううん、ティファがね、ヴィンセントにも教えといて、って言ってた」

「それならば……ほう」

「え、どうしたの?」

「いや、何でもない」

「ええっ! そんな風に言われたら気になるよ!」

「ティファに教えてもらうんだな」

「何が何が!?」

「(意味深長なアドレスだな……他人のことを言えた義理ではないが……)」



「あ、きたきた!」

─────────────
To : ティファ
From :
Sub : non title
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ティファ元気でずがイリスです。
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「ふふっ」

「イリスからか?」

「うん、なんか、イリスは今、鼻づまりみたい、ふふっ」

「……なんなんだ?」

「あ、ヴィンセントからもきた。うん、なんか、ヴィンセントらしい文面だね」

「『ヴィンセント・ヴァレンタイン』ってきたんだろ」

「じゃあクラウドも?」

「ああ」

「なんか、名前打つのも大変そうよね」

「たしかに。誤変換しそうだ」

「もう誰かにしてるかも」

「かもな」

「なんか可愛いな、二人とも」

「まあ、微笑ましいよな」

「あ、やっぱりクラウドも気付いた?」

「アドレスのことか?」

「うんうん!」

「ちょっと考えれば誰だってわかるさ」

「お互いのイニシャル入れるなんて、意外と可愛いことするのね」

「別れた時に大変だけどな」

「あれ、心外。大丈夫だよ、あの二人なら」

「まぁ、たしかに」

「別れるなんてあり得ないもん、知ってる? 二人のラブラブっぷり」

「ああ、嫌ってほど知ってる」

「でしょ? だから大丈夫」

「まあ、アドレスが変わったときにはヴィンセントを慰めに行ってやるか」

「もう、クラウドったら!」

「冗談だ。あいつを慰めるなんて御免だ、手に負えそうもない。だから別れるなよ、ヴィンセント」

「素直じゃないんだから」

「……悪かったな」

「(私も、クラウドが気付くまで、アドレスはこのままにしよう)」



二人目、エアリスに教えてもらった恋のおまじないをバカ正直に実践してる可愛いティファへ、送信完了!


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