50万打御礼企画 | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -



22:奇跡の世代についての考察


ラウンジに顔を出せば誰かしらが世間話をしているのがボーダーという組織だった。部活のように放課後になると誰もが本部へと顔をだし、訓練だけでなく宿題をやっていたり、ゲームをしていたり。
太刀川隊の出水と国近、唯我は自隊の隊長たる太刀川が訓練すんぞ!と意気込んでいたくせに、大学の課題の未提出が大学側からのタレこみによって発覚し、忍田に叱り飛ばされ、風間と春という監視付で現在作戦室に缶詰になっている。くつろぐこともできない3人は仕方なくラウンジの一角を陣取って、何とはなしに会話をしていた。


「ボーダーで最強の世代ってさ、21歳組だと思うんだよね〜」

と国近が言うので、出水は「え〜、あそこの世代って人数めちゃ少ないっすよ?」と反論した。

「つか、敵にして恐そうなのは、むしろそのひとつ下の20歳組じゃないですかね」

太刀川、二宮がそろうだけで、かなり厄介極まりない。それでも自分たち高校生隊員が全員でかかれば数の優位はとれる、とは思っている。

「違う違う〜。組織的にってこと」

「組織的?」

国近が頷いた。
そのまま、何やらノートに書き出し、書いたものを出水に見せる。

城戸司令ポジ=風間さん
本部長ポジ=諏訪さん
支部長ポジ=木崎さん
鬼怒田さんポジ=寺島さん
唐沢さんポジ=春さん
根付さんポジ=不在?

「ね? ボーダー幹部職埋めチェックしたらさぁ、広報関係以外手が回ってないとこなくない?」

「・・・春さんが唐沢さんポジってのが何とも」

「だって外部にコネすごいあるしね春さん」


部屋にすごい人からサインと手紙すごいあるの知らない?と国近が言う。出水はピンとこなかった。だが、隣の席に居合わせていた荒船が「あれはやばい」と話にのっかった。荒船隊は作戦会議明けらしい。

「何がやばいんすか?」

「某有名ハリウッド俳優と監督からの直筆サインが山である。ジャパンプレミアのチケットを譲ってもらった時、俺は一生春さんについていきたいと思った」

「あ、それなら私もあるよ〜!発売直後に完売した大人気ゲームが買えなくて号泣してたら春さんが後日買ってきてくれたの!なんかね、ゲーム関係にも知り合いがいて一台だけこっそり横流ししてもらったって。私、春さんに一生ついていく〜〜〜!ってめっちゃうれし泣きした」

「・・・それアレですよね。春さんが『昔、ちょっと貸しあってね』って言ってて『貸しってどんな?』って俺が聞いたら意味深な笑顔で『ちょっと言えない感じ』とか答えたやつですよね・・・・」

「21歳組に広報牛耳れるひと現れたら確かに無敵感あるな」

「私たちも頑張る?」

「八嶋派できたら駆けつける段取りだからな・・・」

「穂刈先輩とかそれでいいんすか」

同じくいあわせた穂刈は、

「隊長についていくだけだからな、俺達は」と言う。
「うちの隊長はわっかんないんですよね〜」と出水。

「本部長の最強の弟子で、城戸派の主軸で、迅さんのライバルで、春さんの犬って感じ」

「・・・・犬て」

「あー、俺が太刀川さん苦手なのはそれでか。納得した。けどあの人、犬っぽい時と猫っぽい時でむらあるだろ」

「それ春さんにも言えるけど、荒船くん春さんも苦手なの?」

「・・・? 春さんは春さんだろ」

きょとんとした顔で荒船が答える。出水と国近が穂刈を間に挟んでひそひそと会話を始めた。それを荒船はなんだこいつらはと訝しげに見ている。



「ねー、実際どうなんだろ荒船君て。そこに愛はあるのかな〜?」
「あそこに突っ込んでくのはさすがに未来のパーフェクトオールラウンダーでもやばくないっすかね?!」
「・・・黙秘」





「八嶋さんはすごいかたですよ!」と唐突に唯我が主張したので、このお坊ちゃまいきなりどうした、という顔を全員がした。

「昔、誘拐されたときに助けてもらいましたから!八嶋さんに何かあったら『唯我』は黙ってませんよ」

と自慢げに言う。そう言われてみれば、春はどこか唯我を知っている風だったなと出水は思う。だが、一方的に好意を隠さない唯我に対して、どうにも苦手そうだったが。


「スポンサーまでついてるし増すます無敵だな春さん。ところで国近、お前こないだ俺と春さんと今があれだけ見た英語のテスト、もう帰ってきてんだろ」

荒船が国近に水をむけた。

「え、まだ帰って来てないよ?」

そらっとぼけて国近が答える。手元がかすかに揺れているのを、横目に荒船が眉間にしわを寄せた。

「ネタは上がってんだよ」

「穂刈くんは?!」と矛先を自分以外にも散らそうとするあたり、さすが敏腕オペレーターである。だがしかし、

「悪いな、俺は回避したぞ赤点は」

「荒船隊にいて赤点取らすわけねーだろうが」

「穂刈くんの裏切りもの〜〜!」

「今が後からくるからしっかり説教されとけ」

荒船がトレードマークのキャップを深くかぶりなおして、にやりと笑った。







−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
01:ヒロインが出てこないキャラ達だけのヒロインエピソードとか、ヒロインとお相手のことをネタにしてるとか。


下の世代から見ると、上の世代は変態多すぎ・・・って思ってそうですけど、君らの代も十分やばいよと書きながら思いました。






back