わりと不毛な関係
島田さんはずるい。
スミスはそう思う。
「結ちゃん、今度合コンいかない?」
「え、いや私はそういうのはちょっと…」
「数合わせ数合わせ」
「ええっと、でも」
スミスは結を気に入っている。誰もが振り返るような飛びぬけた美人ではないけれど、くるくる変わる表情は可愛い。
「おいしい店なんだけどなー」
探究心旺盛な結はこういえば大抵つれる。安い子だ。それに危機感に薄い。
「……」
黙り込んで考え込み始めた結を見て、もう一押ししようとした時だ。
「結ちゃん?」
スミスは心の中で小さくため息をついた。
これでもう合コンにはひっかからないだろう。あたりまえだ、なにしろ彼女の思い人がやってきてしまったのだから。
「島田さん!お疲れ様です!!」
わたわたと、今日の差し入れらしきものを出すのに結が動き出す。きっともう先ほどまでの会話なんて頭から抜けている。
「…まぁ、いいんだけどね俺は」
「へ?」
そういう彼女のことが、スミスも嫌いじゃあないのだけれど。