3月のライオン | ナノ
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そうだ、山へ行こう!


「山へ行きませんか?」

「結構です間に合ってます」

櫻井七段の誘いに、笑顔の彼女は一刀両断で断った。

女性人気の高い櫻井七段の誘いをここまで無下に扱える女性は珍しいからか、櫻井七段は残念そうな顔をして眉をさげた。この表情もなかなか人気が高い。一度は断った彼女の心も動くだろうか?……というのはありえない心配だった。

彼女はすでに心ここにあらずである。

「山はお嫌いですか?」

「…や、もう山はいいかなって」

遠い目をしていた。
あれ、この顔どっかでみたような気がするな、と思う。

「昔、さんざん上ったのでもういいです」

どこかで聞いたようなセリフだった。



***



「山へ行かないか?」

「行きます!」

ためしに島田さんに言ってみてくださいと頼んでみたら、案の定の結果すぎていっそ笑えない。


「君さぁ、山はもういいって言ってたよね?」

「はい?」

「櫻井七段相手にさ」

「何言ってんですかスミスさん。島田さんと登れるならそれはもはや山登りではなくデートです!デート!断るわけないじゃないですか!よしんばデートでないとしてもおでかけ!島田さんと!」

「……」

気まずそうな顔した島田さんがスミスを見た。喜んでるぞどうすんだ、とその目が言っている。

数秒後「ごめん、今の嘘だから」と告げたスミスは盛大に平手打ちをくらった。好奇心は猫をも殺す。



そうだ、山へいこう!

(貴方といけるならどこへだって私はついてゆきますから!)