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ボーダーGO:RE


おかしなゲームが流行っているらしかった。
二宮はそもそもがあまりゲームをしない。
端末に余計なデータを入れるのがそもそも好きではなかった。
だが、周囲が楽しむのに水をさすほど大人げなくもなかった。流行っているらしいが、それを強要されなければ別段どうということもない。

そう、思っていた。







「あ、春さんゲット!」

その一言に立ち止まる。
思わず立ち止まってしまった自分にしたうちがしたかった。声の主はすぐさま二宮に気が付くと、にたりと笑った。太刀川慶。二宮にとっては目の上のたんこぶである。

「よっ!お前も春さん捕まえに来たのかよ?」

「は?」

「春さん、ここめっちゃ出没すんだよなー。自販機前。あの人好きじゃん、ここのルーレットくじ付きの缶コーヒー買うの」

「・・・・・・・どこに八嶋さんがいるんだ馬鹿が」

「はぁ?どこって」

太刀川がスマホの画面を二宮に向けた。

「ここだけど」

にったりと、嫌な笑みを浮かべているのがむかついた。絶対に次ぎの個人戦ではあの顔に一撃といはずぼこぼこにトリオンをぶち込もうと心に決めた。だが、それよりもなによりも。目前にあるものに二宮は驚愕していた。

「・・・・・・・・・なんだそれは」

二宮はゲームのたぐいに興味がなかった。なかった。過去形である。




***



レイドバトル:タチカワ ケイ

ボーダーGOは着実に進化していた。開発室仕事してんのかな?と出水はちらっと思ったが、まぁ面白いのでかまわない。せんだってついにレイドバトルまで実装されたのだ。

「太刀川さん強すぎ!」と隊員たる出水が悲鳴をあげた。
「人数たりねーなぁ」と米屋。
「アズマ、ヤシマが効く。あとホンブチョー」出水は過去のレイド戦における積み重ねデータを分析した。
「あ、二宮さんだ」

トリオン隊姿の二宮が通りかかった。この人が最近ボーダーGOをやり始めたらしい、というのは結構噂になった。犬飼が嬉々としてゲームの説明をして回っていたところを出水たちも何度か目撃した。

「何をやっている」
「レイドバトルなんすけどねー」
「・・・・・・・付き合ってやる」

二宮さんが仲間になった。てってれー。

「すげー激レアの東さんだ!現役時代の悪魔のコンビでそろえてるの二宮さんはんぱねー」

やり始めたばかりでどうしてこのキャラゲットしてるんだとも思ったがとりあえず目下タチカワを倒すことに集中した。

「お、倒せた。あざーす」
「あれ二宮さんタチカワさん捕まえないんですか?」
「あれはいらない」
「あ、そっすか」

色違いタチカワが画面に表示されているにも関わらず、二宮さんはさっくりゲームを終了させて去っていた。






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鬼のように『春』をエンドレスで集め続けて育てまくりカンストさせる二宮君かわいくない?
周囲に(ガチ勢やばい・・・・)って思われる二宮君かわいそかわいいくない?
自分とこの隊員と夢主と三輪君と東さんくらいしか集めてない二宮君、太刀川さんのレイドバトルにはどこからともなく現れてぼこぼこにして去っていく二宮君に幸あれ。












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