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6.5


ボーダー本部では上層部による情報共有のために、頻繁に会議が開かれる。定例会議だが、不規則にして多忙な彼ら全員が顔をそろえるにはかなりのスケジュール調整が必要だ。20時スタートの会議は、まだ常識の範囲内での開始時間といえたが、ボーダーはブラック企業・・・と大抵の人間が勤務時間を聞けば言うのは間違いない。
そんな生活が当たり前になってきている上層部は、各々好き勝手に飲み物を持ち込んで、会議室へと顔をそろえた。

「迅くんを最近よく見かけますねぇ」と言ったのは根付である。

「たしかに、以前よりも捕まえやすくなった」
唐沢も同意する。

「S級作戦室も思わぬ作用をしそうですね」

厳密にはもう迅はS級ではないのだが、元S級として利用を許可される予定になっていた。元々本部には迅の部屋はなかったので、今回の一件で定期出没ポイントが設けられる結果になる。

「八嶋君には感謝しないと」
「迅のやつそんなレアキャラなってた?」
「林藤、お前ももう少しこっちへ顔を出せ」
「忙しいんだってば。最近やたらこっちにも防衛任務ふるから」
「なら人員をもっと増やせ」
「貰っていいなら貰うけど。春ちゃんとか春ちゃんとか春ちゃんとか」

城戸が咳払いをした。

「彼女は本部にいてもらう。入隊してまだ半年、外部とのつながりが強すぎる、人の眼が少ない場所へ置くべきではないだろう。そもそも、未来視持ちが二人そろって玉狛に引きこもることに利点はない」

情報の横流しに対しての警戒をゼロにはしない、という意志表示だ。だれも彼女がそうするとは現状思ってはいないので本当にこちらは『一応』という体だ。
未来視というのも正確には違うが、アンテナが一か所に集中するのは得策ではない。わかっているので林藤も肩をすくめて引き下がった。
わかっている。が、迅のことを考えると、玉狛へ引き込めないかと思ってしまうのだ。迅の立ち位置を本質的には誰も支えれない。迅が視たものを、聞いて、対策をすることはできても、それ以上のことはできない。
八嶋春は、迅悠一に見えないものを視ることができる稀有な存在だ。

「その八嶋君からの要望だが、通してもかまいませんか」
「異議なーし。快適に過ごせるようにしてやるのがいーと思うね」

S級作戦室に共用とは別にバスルームをつける件はつつがなく上層部会議を通過した。








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