単発夢 | ナノ



愛の傷(ジョルノ)


朝のしんとした空気の中、僕の隣で寝ていたみゆがむくりと気怠げに上半身を起こした。
一糸まとわぬその姿はとても綺麗だが、その体のいたるところに打撲傷があった。
僕はそれを痛ましい気持ちで見つめる。
「じゃあ、今日は彼、帰ってくるから、私も早く帰るね」
そう言ってゆっくりと帰り支度を始める彼女に、僕は胸がぎゅっと痛くなる感覚に襲われた。
僕と彼女の関係はただのセックスフレンドで、僕には彼女に踏み込む権利などないというのに。
着替える彼女の背中を眺めていると、支度を終えた彼女がカバンを持っていざ帰ろうとする。
何だか焦りを覚えて、僕は咄嗟にその腕を掴んた。
「!」
みゆは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに眉を下げて困ったように笑った。
それが無性に悲しくて、僕は掴んだ腕にぐっと力を込めた。
「あなたを殴るような人のところへ、帰らないで下さい」
予想できていたのだろう。みゆは大して驚いていない風に、僕の髪をそっと撫でた。
「…大人になると、色々あるのよ」
「大人とか子供とか、そんな話じゃありません」
食い下がる僕を優しく憐れむように、みゆはただ笑っていた。
その顔も頬に青タンができており、せっかく綺麗なのに、相手が僕なら、絶対にこんな事はしないのにと感情が湧き出てくる。
「ジョルノはきっと、私に同情してるだけなのよ」
優しいのね、と言って頬にキスをすると、みゆはスタスタとさっさと扉に向かってしまった。
「また時間があれば連絡をちょうだいね」
そう言って振り向いた後、みゆは軽く手を振ると、後ろ髪も引かれずさっさと部屋を出ていってしまった。
「…」
残された僕は、ただ彼女の残り香のするベッドで、頭を抱える事しかできなかった。
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