単発夢 | ナノ



恋に落とす音がする(ジョルノ)


こちらのジョルノ視点です


彼女ははいわゆる健気な女なのだ。
好きな相手の少しの変化にも気付き、あれこれと世話を焼き、時には1歩下がって信じて待つ。
そう言った所が可愛いのだと、彼女の彼氏は自慢げに言った、らしい。
それらは僕の取り巻きから聞いた情報だ。
「ねぇ、今回も上手くいったよ、ジョルノ」
「ええ、お疲れ様です。報酬は今晩にでも」
「やった!」
そう言って名前も知らないクラスメイトは先に帰っていく。
僕は1人残されたカフェテラスで、口が綻ぶのを隠すことが出来なかった。
ああ、これでまたみゆは泣くのか。
腹の底がゾクゾクとする。
みゆは人がいい。故に全部自分のせいだと思っているが、それは違う。
彼女が立て続けに男性に振られるのは、こうして僕が取り巻きを使って美人局めいた事をしているから。
彼女に近付くとろくなことにならないと、ホラを吹く。
実際に何をする訳でもないが、僕と彼女の素性を知っている一般人は大抵黙ってそそくさと逃げ出す。
「誰かのものになんて、させるはずがないでしょう」
意地の悪い笑みを隠すようにコーヒーを飲む。
明日辺り、みゆはまたアジトで号泣するのだろう。そうして次こそ、僕の気持ちを伝えよう。
その為に、彼女に手を出す男共に殺意を抱きながらも、振られて泣く彼女を慰め続けてきたのだ。
僕はすくっと立ち上がり、協力してくれた女の元へ向かう。
適当に抱いて、そして明日からはみゆだけの僕になるのだ。
そう思うとやはり口の端が上がってしまい、僕は1つ咳払いをした。
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