単発夢 | ナノ



何度も試すの(ジョルノ)


試さなければ愛を確認できない僕と、それでも僕を愛してしまう可哀想な彼女は、いつになれば幸せになれるのだろうか。


名前さえ知らない女が出て行ったドアを見つめながら、僕の恋人、みゆは小さな声を出して泣いていた。
きっと我慢したいんだろう。
しかし我慢しきれない声がこちらまで聞こえてくる。
僕は少し面倒くさいなと思いながら、気だるい体をベッドから起こす。
まさか他の女との情事の最中に部屋に乱入してくるなんて思ってもみなかった。
おかげでこちらは興ざめだ。
しかしどこかで、未だに扉を見つめて涙を流す彼女の事を待っていたような気もして、僕は自嘲気味に笑った。
「みゆ」
呼ぶと素直に彼女はこちらを振り返る。
真っ赤になった目で、どうして、と無言で僕に語りかける。
僕は何も言わず手招きをすると、それにも彼女は素直に従った。
「すみません」
「…謝られても、困るわ」
これで何度目だと思っているの、と僕を責める彼女に返す言葉もない。
回数など遠に忘れてしまった。
「僕が愛しているのはあなただけですよ」
「…もう聞き飽きたわ」
そう言いながらも彼女は僕を抱きしめる。
「それでも、別れてあげない。ずっと一緒にいるんだから」
彼女はそのまま僕を、先程まで違う女と抱き合っていたベッドに押し倒した。
そのままゆっくりと首に手を回す。
僕はそれを抵抗することなく受け入れる。
「あなたが好きよ。どんなに裏切られても、酷い試され方をしても、何度でもあなたを好きだと言うわ」
彼女はハラハラと涙を流しながら、緩い力でグッと僕の首を絞める。
あぁ、僕の事で悲しむ彼女は何て愛しいんだろう。
「僕はきっと、また他の女性を抱くでしょう」
「…っ」
「それでも、あなたの事が好きですよ」
そう言って彼女の涙を拭う。
「あなたはずるいわ」
彼女は長い睫毛を震わせて言う。
「それでもどうしようもないくらい好きなのよ。罪な人」
そう言って、他の女の口紅が残る僕の唇にキスをした。
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