単発夢 | ナノ



悪戯心(ホルマジオ)


「ただいまー」
うっすらと主張する朝日を背中に浴びながら、私はアジトのドアに手をかける。
今日も今日とて私は朝帰りだ。
暗殺任務は夜が多い、女なら尚更だ。
ガチャっと無遠慮にアジトのドアを開けると、いつもは無人のソファで誰かが寝ていた。
チラッと時計を見ると、時刻は午前5時。
任務帰りに寝落ちたのだろうか?
そろーっと近付くと、その人物がホルマジオだと言う事がわかった。
相当疲れていたのだろう、血の匂いもそのままにスヤスヤと眠っている。
「……」
うずっ。
ホルマジオがこんなに警戒心もなく寝ているのが珍しくて、私の中のイタズラ心が疼く。
「ホルマジオ〜」
「んん……」
控え目な声で名前を呼ぶが、身動ぐだけで起きる様子はなかった。
「ちゃんと部屋で寝ないと、風邪ひくよー?」
そう言いつつ、ソファに膝を乗せてホルマジオを覗き込む。
ギシッと、安いソファが音を立てる。
「んー……」
「そんな無防備な顔してると、イタズラしちゃうんだからね…?」
そう言って、私は問答無用でホルマジオの首筋に顔を埋めると、男らしい筋張った首にキスマークをつけた。
「ひひっ起きたら慌てるかな?」
次はどこにつけようかな〜と、好奇心をうずうずとさせながら、ちゅっちゅっと首筋に何個もキスマークを付ける。
「んんん」
夢中でキスをしていると、ホルマジオが不意にガバッと私の体を抱き込んだ。
「うわっ」
私は突然のことに、バランスを崩しホルマジオの上に倒れ込んだ。
「ホルマジオ……?」
てっきり怒られるのかとビクビクしていると、それとは正反対に優しく髪を撫でられた。
「……後で構ってやるから、今は寝かせろ」
そうして、優しく優しく、頬にキスをされる。
「ご、ごめん……」
ホルマジオの唇が触れた箇所から、どんどん顔が熱くなっていく感覚に襲われる。
そして、そのまま背中をぽんぽんと叩かれる。
まるで子供をあやすように。
そうされてしまうと、こちらももうちょっかいは出せない。
私はまた寝息をたて始めたホルマジオの胸に耳をあてる。
とくん、とくん、と言う規則正しい心音を聞いていると、こちらも眠たくなってきて、抱きしめられているのをいい事に、私もこのまま寝てしまおうと思った。
私の方が心音が早いのは、少し悔しいけれど。
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