ジョルノ様は神様です! | ナノ



優しくされると、蕩けてしまいます


ジョルノ様がチームに配属されて数週間が経ち、私はやっとジョルノ様と二人での任務を任された。
それはもうピクニックにでも行くような気持ちでいたが、任務の内容はターゲットの張り込み、そして死なない程度の制裁であった。
「はああああ〜…私張り込み苦手です…」
私はジョルノ様が運転する車の助手席で項垂れる。
制裁には特に不満はない、ギャングだからこう言う任務は日常茶飯事だ。
しかし長ければ1日がかりになるような張り込みはどうも苦手であった。
私には堪え性がないのだ。
「文句を言うなら帰ってくれても構わないんですよ」
「そんな勿体無い事する筈ないじゃないですかぁ…ジョルノ様と一緒ですし頑張りますよ」
もう既に車を停めて小一時間は経とうとしている。
いつターゲットが現れるかと目を光らせるには長い、そろそろ辛い。
「ジョルノ様、しりとりでもしませんか」
「しません。それでターゲットを見過ごしたらどうするんですか…」
ジョルノ様ははぁ、と呆れたようにため息をついた。
それが妙に色っぽくて、ついつい街角ではなくジョルノ様を見つめてしまいそうになる。
ジョルノ様と二人きりの車内、あぁ何て幸せなんだろう。任務であっても幸せだ。
頬がニヤニヤしてきたのを感じたが、そんな顔をしながらもちゃんと目の前を監視する。
これでもギャングの端くれなのだ、浮かれてばかりいたら恥ずかしい。
よしっ!と自分に気合を入れたのもつかの間、今朝ブチャラティに渡されたターゲットの写真と同じ人物を視界の端に確認した。
「ジョルノ様」
「えぇ、意外と早く現れてくれましたね」
そう言葉を交わすと、二人同時に車を降りる。
ターゲットはおもむろに花屋に入ると、お店のお婆さんを恐喝し始めた。
絵に描いたようなチンピラだ。
これなら何の罪悪感もなくボコれそう。
私とジョルノ様が花屋に入ると、そいつはこちらを睨みながら振り向いた。
「何だてめーら。今取り込んでんのがわかんねーのかよ」
「まぁまぁ、弱いものイジメはよくありませんよ」
そう言って私はお婆さんとチンピラの間に立った。
「関係ねー奴は引っ込んでろ!こっちはショバ代貰いに来ただけなんだよ!」
そう言ってチンピラは勢いよく殴りかかって来た。
私はそれをするりと避けて、チンピラを外に蹴り飛ばす。
「それならもう頂いています」
「っ女が舐めた事してんじゃねーぞ!」
素早く立ち上がろうとした所を、すかさずジョルノ様が押さえ込み一発殴りつける。
男はぐえっと声を出し、また道に倒れた。
「ここいらは僕達が仕切っています。あなたのような人の出る幕じゃあないんですよ。あまり悪さはしないでもらえますか」
そう言ってもう一発腹に拳を叩き込む。
チンピラはグッと一瞬息を詰め、ゴホゴホと咳き込む。
その後も手加減しつつも何発か殴りかかるジョルノ様を見て、今回の任務はこれで完了かなぁなどとお気楽に眺めていると、人混みから一人の男が飛び出して来た。
仲間がいたのか…!
男がジョルノ様目掛けて鋭利なナイフを振り下ろす。
ジョルノ様はすんの所でそれを避け、男の足を払って転倒させた。
「ッチ…!」
私はすぐさまナイフを回収すると、それを勢いよく男の腹に突き立てた。
男は情けなくぎゃああ!と叫び声を上げたが、急所は外してある。
悶え苦しむそいつにあと3発程ナイフを突き刺し、ジョルノ様に取り押さえられている男にも同じ事をした。
これで懲りてくれるだろうか。
涙目になりながらよろよろと逃げて行くチンピラ二人組を眺めながら、殺した方がよかったのではと考えた。
「これで任務完了ですかね…?もう悪さはしないでしょうか」
私は不安でジョルノ様に聞いた。
「…あなたがあれだけやったんですから、少なくともしばらくの間は大丈夫だと思いますよ」
少し心配が残るが、仕方が無い。
ブチャラティに報告をして今後の対策を練ろう。
帰りましょうか、とジョルノ様を見て、私はあることに気付いた。
「ジョルノ様、指に擦り傷が!」
「え?あぁ、今気付きました」
ジョルノ様は特に関心がないように言ったが、私は気が気ではなかった。
早く手当てを…!と、思うと体が勝手に動いてしまった。
パクッ
「えっ…」
ジョルノ様の指を口に含み、ちゅう、と血を吸う。
鉄の味が口に広がるが、ジョルノ様のものだと思うと甘くさえ感じた。
舌でチロッと傷口に触れると、ビクッとジョルノ様の指が強張り、次の瞬間ドンッと強く押しのけられた。
「…っあ、すみません!気が動転してつい…早く治療しなくちゃと…!」
怒られると思い咄嗟に頭を下げると、はぁ、と一つため息が聞こえた。
「…お気遣いありがとうございます。でも、自分の能力で治せますから」
そう言ってジョルノ様はスッと背後からスタンドを出し、自分の傷を治して見せた。
「それがジョルノ様のスタンド…!」
私はその神秘的な動作につい見惚れてしまったが、アジトでの事を思い出しハッとした。
「あの、私なんかに見せてよかったんですか?」
確かまだブチャラティ以外にはスタンドの能力を見せていないと聞いている。
私が不安気にジョルノ様を見上げると、ジョルノ様はぶっきらぼうに私の頭にぽんっと手を乗せた。
「あなただから、見せたんですよ」
心配してくれたお礼です、と言い わしゃわしゃと頭を撫でると、ジョルノ様は一人で車に向かって歩き出してしまった。
私はしばし呆然とその場に立ち尽くし、やっと何が起こったのか頭が処理をする頃には、ジョルノ様はもう車に乗り込んでエンジンをかけていた。
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