ジョルノ様は神様です! | ナノ



足取りは軽く


「ジョルノ様好きです!」
「知ってます」
「ジョルノ様罵って下さい!」
「暇があれば」
「ジョルノ様踏んで下さい!」
「またの機会に」

「……どうしたんです?今日はやけに元気じゃあないですか」
きょうことの街の見回りの最中、きょうこはやけに元気で、終始そんな訳のわからない事を口走っていた。
「いえ、原点回帰と言いますか、最近のジョルノ様は少しお優しいじゃないですか」
その一言にドキッとする。
彼女への気持ちに気付いてから、僕はそんなあからさまに態度に出ていたのだろうか。
それを自覚した途端頬がカッと熱くなる。何だかとても恥ずかしい。
「呆れて物が言えないだけです。調子に乗らないで下さい」
ふいっとそっぽを向く僕の何と情けないことか。
僕は、そんな自分のらしくなさに少し苛立つ。
チッと小さく舌打ちをすると、斜め後ろを歩いていたきょうこの肩がピクンと動いたのを感じた。
「気分を害してしまってごめんなさいジョルノ様…!鬱憤なら私が受け止めますので!」
さあ!と言ってきょうこは頭を下げて、隙あらば叩かれようとする。
だからその行動が僕を苛立たせるのだと、何故この変態は理解しないのだろう。
そして、ここできょうこの頭を叩けるような自分であれば、どんなに楽か、きっとこいつは考えもしないのだろう。
「顔を上げて下さい」
そう言って僕はきょうこの顎を強引に掴むと、ぐっと頭を上げさせる。
そしてそのまま頬に手をやる。柔らかい。その吸い付くような肌を、叩ける筈などないのだ。
「ジョルノ様…?」
きょうこが少し期待した目でこちらを伺う。
夕日が差して色づいたきょうこの顔は、これが惚れた弱みなのだろうか、とても綺麗だと、シンプルにそう思った。
「あなただから、嫌なんですよ」
「…?ジョルノ様、それは、どういう」
きょうこの目をぱちくりとさせる。
それがあまりにアホ面で、僕は今までの少しの葛藤などどうでもよくなってしまった。
「…さぁ、自分で考えてみて下さい」
行きますよ、と言って、僕は夕日が眩しいネアポリスを歩く。
心なしか、先程より足取りは軽く。
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