ジョルノ様は神様です! | ナノ



きっと待っていてくれる


ブチャラティ視点のお話です

きょうこが攫われ、そして帰国してから早いものでもう1ヶ月近くが経とうとしていた。
ジョルノの過干渉は相変わらずのようだが、それも落ち着きつつあるらしい。
今日は俺ときょうこ二人の任務だが、心配そうな顔はしても止めるような事はしなかった。
「…」
罪悪感が、ない訳ではない。だからこうして一緒に任務に赴いているのだ。
しかしその考え自体が言い訳じみている気がして、一服しようとタバコを取り出した時だった。
「!」
待機していた路地の奥からガタッと物音がして、俺はスッと身構える。
音のした方をうかがうと、雑踏の音も遠く聞こえる路地の中、昼に似つかわしくない程に艶めかしく体を絡め合う男女の姿があった。
女は小汚い壁に背を預け、男の腰に手を回す。すると、機嫌の良さそうな男が、ぐいっと女の首筋にキスを落とす。
「ん…せっかちなんだから」
そうして女は男の耳を喰む。切羽詰まったような男が腰をぐいっと女に押し付けると、お返しとばかりに女の耳を噛んだ。
「んっ…!」
痛みで逸らされた女の目線が、奥で待機している俺と合う。
「…」
女は今なされている行為と似つかわしくないような幼い表情で俺に笑いかける。
そして、男の尻ポケットから何かを抜き取ると同時に、思いっきり男の胸にナイフを突き立てた。
「うぐっ!?」
咄嗟に離れようとする男の背後に周り、今度は俺が、後ろから男の心臓めがけてナイフを突き立てる。
男がゴフッと血の塊を吐き出し、体重を壁と女に預けた。
そのまま男の心臓部をジッパーで開けると、心臓を繰り抜き無造作にそれを地面にグチャッと落とす。
「…手伝ってくれてありがとう、ブチャラティ」
かろうじて生命反応の名残を繰り返す死体を挟んで、女がニコッと微笑んだ。
「こいつやっぱりスパイだったみたい、後ろポケットに身分証明もあったし、ボスの読みは当たってたよう、ね…」
女は俺の顔を見上げると、少し心配そうに眉をハの字に下げた。
「ブチャラティ、どうかしたの?とても悲しそうな顔をしてる」
心底心配している声で、血に濡れた手で俺の頬を包む。
まるで聖母のようだと、思った。
「…いいや、何でもないさ」
ドサッと男だった肉塊が崩れても、俺たちは暫く見つめ合っていた。
そうして優しく女の額と頬にキスをする。
「さあ、帰ろうか、きょうこ」
「ええ、ジョルノ様もきっと待ってるわよね」
死体をぴょんっと飛び越え、真っ赤なドレスを翻すきょうこは、ゾッとする程綺麗に笑った。
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