ジョルノ様は神様です! | ナノ



まるで夫婦みたいだね


ぽかぽか暖かい日差しで、私は瞼を震わせて目覚めた。
「んんん〜…」
ベッドから起きて、ぐいっと伸びをする。健やかな朝だ。
暫くベッドの上でむにゃむにゃと言っていると、ふといい匂いがする事に気付く。
「んあ…?」
ごしごしと眠気眼を擦りながらキッチンの方を見ると、そこには私のお気に入りのマグカップで何かを飲んでいるジョルノ様がいた。
「……え!?」
「…ん。起きたんですね」
寝起きでボサボサの髪に混乱した表情の私に、ジョルノ様がらしくもなく柔らかく微笑む。
これは夢か?
頬を抓ると、確実な痛みと共に、昨日あったことが走馬灯のように頭を巡った。
どうやら夢ではないらしい。
「お、おはようございます…」
一旦寝て回復した思考が、穴があれば入りたいと叫んでいる。
記憶が正しければ、私はジョルノ様と同じベッドで寝たことになる。
ふとお風呂上がりのジョルノ様を思い出して、私はかああと顔を赤くした。
そんな私の様子を見て、ジョルノ様はどこか機嫌が良さそうだった。
「ビスケットがあったのでそれと、ココアを入れました」
コトン、と机にコップを置かれ、私はベッドから起きることにした。
「ありがとうございます」
いつもは使わないマグカップだ。
だってお気に入りのマグカップは今ジョルノ様が優雅に口をつけているのだから。
「今日が命日かもしれない…」
「そうならないために僕がいるんでしょう」
さらっとこぼれた言葉に、胸がキューン!と高鳴る。
そうだ、ジョルノ様は暫く私と過ごすのだ。任務はもちろん、学校も…
「!?」
ガタッ!と立ち上がり掛け時計を見る。そこには14時30分を示す針。
「えっ!?あっジョルノ様!学校は!?仕事は!?」
慌てふためく私と打って変わって、ジョルノ様は冷静そのものだった。
「今日くらい休むようにと、ブチャラティからのお達しです」
新聞をパラパラと捲りながらジョルノ様はそう言う。
「不良になっちゃいますよー!」
「ギャングが何を言っているんですか…」
新聞をパタンと閉じ、ジョルノ様がのんびりココアを飲む。
「ん?そう言えば暫く一緒だと言っていましたが、もしかしてお泊まりもですか…?」
帰国後の何気ない言葉を思い出し、私は半信半疑でジョルノ様に声をかけた。
「ええ、少なくても1週間は」
「1週間!?心配し過ぎですよ」
「そういう隙があるから、拐われたりしたんでしょう」
身内の恥なので、これは尻拭いのようなものです。とジョルノ様が付け加える。
「あまり気負わないで下さい。僕が好きでやりたいだけなんですから」
数日だけ我慢してください、なんて言われては、こちらも弱い。
「ジョルノ様って意外と頑固ですよね」
「誰のせいだと思っているんです」
「私のせいですか?」
「……………………」
私が少し意地悪に返すと、ジョルノ様はバツが悪そうに視線を逸らした。
そんな横顔も素敵です…。なんて考えて、ああやっと日常に帰ってこれたんだなぁと私はしみじみと感じた。
そして日常的なある事をふと思い出す。
「そうだ!ジョルノ様、買出しに行かないと」
「ああ…冷蔵庫に何もありませんでしたしね」
私は荷物をゴソゴソと漁り財布を探す。
「いつもアジトで食べてますから…でも今日は任務に出ないのに行く訳にもいきませんしね」
あった、と呟き、それを手頃なカバンに無造作に突っ込む。
ジョルノ様の方を見ると椅子から立ち上がっており、どうやら買出しにも同行してくれるらしかった。
「ごはんのリクエストがあれば聞きますよ〜!」
何だか新婚のようだなと私がウキウキしながら玄関のドアノブに手をかけると、ドンッと言う音とフワッと微かないい匂いが鼻をくすぐった。
「待ってください」
そう言ったジョルノ様の手は玄関のドアに伸ばされており、私はドアとジョルノ様の間で身を小さくした。
これは所謂壁ドンと言うやつだ…!
私が咄嗟のことに目を回していると、落ち着いた声でジョルノ様が続けた。
「きちんと確認してから出てください」
そう言ってジョルノ様は至近距離で覗き穴から外を確認する。
「…もう〜、心臓に悪いですよぉ」
ゴツン、とドアに額を押し付けると、後ろでジョルノ様が笑う気配がした。

こうして、私達のプチ共同生活はスタートしたのです。
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