ジョルノ様は神様です! | ナノ



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夏の終わりに彼女の家を訪問して気付いたが、そう言えば、僕は彼女の携帯番号もアドレスも知らないでいる。
いつも中間にブチャラティを挟んでおり、それが普通になってこんな初歩的な事も知らないでいた。
お互いの事を知らないにしても程が有ると、僕は少し反省した。
もう少し彼女に興味を持ってみよう。
例えそれが義務感から来ていてもだ。
僕はコホンと一つ咳払いをして、アジトのソファの隣に座る彼女に話しかけた。
「きょうこ、今更なんですが、…メールアドレスを交換しませんか」
そう言うと、彼女は食べていたお菓子をポトリと落として、口をあんぐりと開けたまま静止した。
「…ま、まさかジョルノ様からその話題を振ってくださるなんて…!」
きょうこは感激です…!と大袈裟なほどに顔をほころばせている。
「任務の時に不便なだけです」
そう付け加えるも、彼女はデレデレと幸せそうに頬に手を当てて笑っていた。
それだけの事に一喜一憂できる彼女は、きっと魅力的なのだろうが、今は単純に面倒くさい。
僕は携帯電話を取り出し、アドレス帳を開いた。
「口頭で伝えて下されば登録しますが」
「ええ〜では、ジョルノ様ラブアットマーク…」
「それは本気で言っているんですか」
きょうこが空を見ながら幸せそうにバカみたいなアドレスを伝える。
僕がドン引きしていると、彼女はやだなぁと微笑んだ。
「まさか、冗談ですよ。これは恋が実ってからです」
くねくねと幸せそうに身体をくねらせる彼女に、もうため息しか出ない。
「その可能性は限りなく0なので、アドレス変えなくて済みますよ」
よかったですね、と言うと、彼女が食い気味にこちらを見つめて言った。
「と言うことは0.1%くらい可能性はあるんですね!?」
「ポジティブですね、あなたは…」
いいから早く教えて下さいと急かすと、はーい。と言いながらきょうこは鞄をゴソゴソとあさり、携帯を取り出した。
「では、番号も一緒に赤外線で送りますね」
お互いの携帯を近付けると、てぃろりろりんっと電子音がした。
「送信完了です!」
送られてきたきょうこのメールアドレスは、間違っても僕ラブなどではなく、誕生日らしい数字が組み合わされた、ごくありふれたものだった。
「いつでもメールしてきて下さいね!」
笑顔で携帯を握りしめる彼女に、業務連絡しかしませんよ、などと軽口を叩くが、これで少しは彼女の事が知れたと、僕は内心満足した。
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