ジョルノ様は神様です! | ナノ



ああっジョルノ様


「あなた、ギャングだったんですね」
キラキラと目を輝かせる私を見て、意外そうに、しかし眉をひそめながらジョルノ様は言った。
「そうなんですよ〜まさか同じチームになれるなんて!凄く嬉しいです!」
他のメンバーがそっぽを向く中パタパタとジョルノ様に駆け寄ると、フイ、と顔を逸らされてしまった。
そんな仕草さえ美しくて、私はほぅ…と見とれてしまう。
「きょうこは昨日ここに来ていなかったから言ってなかったな。しかし、知り合いだったのか?」
あからさまなジョルノ様の反応に苦笑しながら、ブチャラティは不思議そうに聞いた。
私は待っていましたと言わんばかりの勢いで話しだそうとしたが、それをジョルノ様が冷めた目で遮る。
「いいえ、初対面です」
ピシャリと言い放たれた言葉に頭をガツンと殴られたような衝撃を受けたが、すぐに明後日の方向を向いているジョルノ様を見つ直す。
「初対面じゃないですよ!今朝あんなに情熱的な出会いをしたじゃないですか!」
「…あぁ、そう言えば今朝不審者に絡まれましたね」
私の運命の出会いは、彼からしたら不審者との遭遇なのか…。
「それでも、覚えていて下さるだけで幸せです」
本当にそれだけで幸せで、自然と笑顔がこぼれた。
すると先程までそっぽを向いていたジョルノ様がこちらを見て、ジッ…と目線を合わせてくれた。
そして何か神妙な面持ちをしてこう言った。
「あなた、本当に変わっていますね。こんなに気持ち悪い人には初めて出会いました」
しかし、そんな嫌悪の言葉でも、どんどん快感に思えてきて、私はふふっと笑みをこぼした。
そのせいでジョルノ様はより眉間のシワを濃くしたが、悲しいことに私はもう既にそんな反応に慣れつつあった。
「そんな事言わないで下さい、これから長い付き合いになるんですから」
「…気が遠くなる思いです」
彼は心底げんなりしていて、それでも一緒にチームになれる事に喜びを感じた。
「私すっごく幸せです」
「顔の筋肉が緩みまくってとても気持ち悪い顔をしていますよ、あなた」
「辛辣な言葉も愛の囁きに聞こえます…」
目をハートマークにして自分を見つめる私に、ジョルノ様は少したじろいだ。
「ブチャラティ…この人頭は大丈夫なんですか」
「こんな奴だがいいやつなんだ。適当にあしらってくれ」
何か引っかかるような事を言われた気がしたが、フォローしてくれたのだと思って黙っておいた。
すると何かカチャカチャと食器のぶつかる音と、ジョボジョボと何かが注がれる音がした。
「いいですとも、ジョルノ君だっけ?立ってるのも何だからお茶でも飲んで…話でもしようや…」
そう言ったのはアバッキオで、見るからに何か企んでいるような顔をしていた。
私は怪訝な顔でアバッキオを見たが、ジョルノ様は言われるまま席についた。
フーゴやナランチャがクスクスと笑い、ミスタは
「仲間になりたくないから、飲みたくないんじゃねーの?」
なんて言い出した。
絶対に何か意地悪をしているのだと思い、何が起きているのかわかっていないブチャラティの横を通り抜け、ジョルノ様の側まで近付いた。
ジョルノ様の肩ごしに香ってきたのは店自慢の上品な紅茶の香りではなく、明らかなアンモニア臭だった。
「ちょっとアバッキオ…!まさかあなた」
アバッキオをキッ!と睨むと、何も知らないとでも言うかのように顔を逸らされた。
「ジョルノ様!そんなの飲む必要ありません!」
私がそう言ったと同時に、あろう事かジョルノ様はそのカップに並々と注がれたそれをグイッと一気に口に運んだ。
「ジョルノ様!?」
他のメンバーからもマジかよー!などとどよめきがあがる。
それを何でもないかのように振舞うジョルノ様はキラキラを輝いて、私の胸をより一層熱くした。
「かっこいい…!」
もう私の目にはジョルノ様しか映っていなかった。
最初は一目惚れだったが、中身まで本当にかっこいい人…!
「ジョルノ様の聖水なら私も飲みたい…」
自然と私はとんでもない事を呟き、たまたまそれを聞いてしまったミスタはゲッと顔を強ばらせた。
「今のは聞かなかった事にしとくぜ…」
そんなミスタの優しさはジョルノ様に釘付けの私の耳には届かず、椅子に座るジョルノ様にグイっと近付いた。
「ジョルノ様!今のはどうやったんですか!?」
「初対面のあなたに教える筈ないでしょう」
「だから初対面じゃないです!先ほど不審者に会ったって言ってくれたじゃないですかぁ!」
私が地団駄を踏んでいると、ジョルノ様はウエイトレスに追加の紅茶をオーダーした。
「ジョルノ様!これからずっと、ジョルノ様の事を様付でお呼びしてもいいですか!?」
「構いませんが、忠誠でも誓ってくれるんですか?」
「誓います!誓います!言うことも何だって聞きます!」
そう言って、私はジョルノ様の頬に軽く口付けをした。
ジョルノ様は一瞬ポカンと呆けて、すぐに怒っているような戸惑っているような顔になった。
「誓いのキスです!」
「…あなたには何を言っても無駄だと言うことがわかりました」
ジョルノ様がふう、とため息をついた時、ブチャラティが私の肩をポンポン、と優しく叩いた。
「盛り上がっているところ悪いが、きょうこ、この間の任務についてなのだが」
「あ、はい!」
座って話そう、と言うブチャラティについて行き、私はジョルノ様の隣から離れ、少し遠くのソファに座った。


「…ちゃんと人間の顔もできるんですね」
きょうこが離れて、ジョルノは意外そうにそう呟いた。
「少なくともお前が来る前までは多少マシな面してたよ」
そう返したのはミスタで、先程まで座っていた椅子から立ち上がり馴れ馴れしくジョルノの肩を抱いた。
「よほどてめーが気に入ったんだろうよ」
「…鬱陶しいことこの上ないですね」
ジョルノはそんなミスタの腕を払い除けて、小さなため息をついた。
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