ジョルノ様は神様です! | ナノ



脳を痺れさせる魔法の言葉


もう空が茜色に染まりつつある時間、私は1人で任されていた任務を終え、アジトに帰宅した。
「ただいま戻りました〜」
「ん、おかえり」
私に真っ先に声をかけてくれたのは、何やら書類と睨めっこをしているブチャラティだった。
「お疲れ様です」
次にジョルノ様が、何やら身支度を整えながら労わりの言葉をかけてくれた。
「ジョルノ様はどこかへお出かけですか?」
私はソファにカバンを置きながら何気無く聞く。
「ええ、今から街の見回りに」
「今からですか!?」
私はパアッと表情を明るくして、その場でぴょんと跳ねた。
「そうですが…何か問題でも?」
ジョルノ様はあからさまにテンションの上がった私に少し引き気味答える。
問題も何も、このタイミングで私が帰宅したと言うこと、これは運命の巡り合わせとしか思えない。
私はバッ!と勢いよくブチャラティの方を見た。
「ブチャラティ!私も街の見回りに行きます!」
「行くって…きょうこは今帰ってきたばかりだろう」
ブチャラティがテーブルに書類をパサッと置いて、呆れた顔で言う。
「もう今日のお前の任務は終わりだ。明日に差し支えるから休め」
「心配してくれてありがとうブチャラティ!でも私全然平気だから!ピンピンしてるから!」
実際は朝から護衛任務に出突っ張りだったため全く説得力がないが、腕を曲げてムキッ!と元気をアピールする。
そんな私を見て、ブチャラティはハァ、とため息をつくと、席を立ち私の方に歩いてきた。
私は咄嗟に身構える。
「体はちゃんと労われ」
「ぁっ…!」
そしてトンッとごく軽い力で肩を押され、私はふらっとふらつき、そのままソファにばふんっと座り込んでしまった。
「…」
「部下の体の調子くらいすぐにわかる」
私は私が思っていた以上にお疲れなようで、それを見抜いたブチャラティにひどく感心した。
しかしここで素直に引き下がるのは勿体無い…!
私がぐぐぐと拳を握っていると、フーゴが本を片手に話しかけて来た。
「どうせジョルノと一緒にいたいだけでしょう。魂胆が見え見えなんですよ」
すました顔でそう言うフーゴに、私はグッと言葉を詰まらせる。
その通りだ。それ以外の何物でも無い。
図星をつかれプーと頬を膨らませる私の隣で、ジョルノ様が出発の準備を整えてしまった。
「ジョルノ様ぁ…!」
私は最後の希望だとでも言うように、ソファから立ち上がりジョルノ様を見つめる。
「…僕一人で十分ですから」
ジョルノ様は、はぁ、とため息をつく。
「ここで大人しく待っていて下さい」
「嫌です!私も行きますー!」
駄々っ子のようにそう言うと、ジョルノ様は眉間にシワを寄せ、頭に手をやり何かを考えるそぶりを見せた。
そして私の正面に向き直る。
「きょうこ」
「はい!」
私は笑顔でジョルノ様に答える。
するとジョルノ様はぐいっ!と勢いよく私の胸ぐらを掴み自分の方へ引き寄せた。
「んっ…!」
そしてそのまま顔を寄せる。
「命令、だと言ったら?」
「っへ…?」
「きょうこ、ここで僕の帰りを待ちなさい。これは命令です」
言うことが聞けますね?と耳元で囁かれ、私の胸はきゅうううんと高鳴った。
「っはい…!待ちます!いつまでも待ちます!」
「いい子です」
胸ぐらを乱暴に掴む手を離されると、私はぺたんとソファに力なく身を沈めた。
「では、行って来ます」
「あぁ」
ブチャラティが短く返し、ジョルノ様はパタンとドアを閉めて任務に向かってしまった。
私はポー…っと乱れた服を直すこともなく宙を見つめる。
「ジョルノ様…やっぱり素敵…」
心地いい脱力感に包まれ、私はこの気持ちに浸りながら、ジョルノ様を待つことにした。
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