ジョルノ様は神様です! | ナノ



肝試ししたり!


「御一行はここにご宿泊か…」
「何かスリリングだね」
海沿いの高級リゾートホテルを見上げながら、私とブチャラティは言葉を交わす。
時間は深夜3時を回り、電気のついてる部屋の数ももう少ない。
ターゲットのいる部屋も随分前に消灯されていた。
暗がりに隠れてその様子を伺う今の状況は、さながら肝試しのようだと不謹慎ながらウキウキしてしまった。
「そろそろ動くか」
腕時計を確認したブチャラティが静かに言う。
「作戦は頭に入っているな?」
その問いに、私はコクリと頷く。
最後の任務は、ブチャラティと私の2人のコンビだ。
結局私は今回の任務で出突っ張りだったな…。
「できるだけ迅速に動いた方がいい、無駄な動きは一切するな」
ぼんやりと考えているとブチャラティに目を合わされ、シャキッと姿勢を正す。
「じゃあ、いくぞ」
ブチャラティのその言葉に、ザッと勢い良く、しかし静かに作戦を開始した。


ターゲットは最上階のスイートルームにご宿泊らしい。
私とブチャラティは壁の側まで移動し、ブチャラティは壁にジッパーを仕掛けた。
「きょうこ、頼んだ」
「ん」
私のスタンドを発動し、ブチャラティにしがみ付く。
これでブチャラティの姿も他人から見つかり辛くなったはずだ。
「スティッキー・フィンガーッ!」
その掛け声で、私を小脇に抱えたブチャラティが、エスカレーターのようにガアアーッ!と壁をジッパーで登っていく。
夜風が強く顔に当たる。
物凄いスピードで駆け上がり、瞬きをすれば、もうそこは7階スイートルームのバルコニーだった。
予想通り見張りの護衛がいるが、私のスタンドの効力かまだこちらには気付いていない。
間合いを詰めて、当て身一撃でダウンさせる。
どさっと護衛が倒れる音に一瞬警戒したが、部屋の中から誰かが来ると言うことはなかった。
「第一段階クリアだね」
「あぁ、次は中だ」
部屋の中へ続くドアは鍵がかかっていたが、それもジッパーで難なく突破する。
広い部屋をざっと見渡す。
部屋の中には護衛はいないようだ。
自分の状況など全くわかっていないかのように、ターゲットの中年男性はイビキをかいて寝ていた。
寝ている相手に私のスタンド能力がプラスされれば、私達はさながら透明人間と言ってもいいだろう。
ブチャラティと目配せをして、私が足元で銃を構え、ブチャラティがまず素早く男の口にジッパーを引く。
「…、…!?」
一瞬の間の後、異変に気付いた男が目を開けた時には、既に男の腕はジッパーでバラバラにされていた。
「んっ!むぐっんぐっ!」
何が起きたのかわからずジタバタと暴れる男の足も、器用にジッパーでバラす。
これで男はだるま状態になった。
鼻息も荒く、涙目で何かを訴える男を無視して、私はバラバラにされた男の体を袋に詰めた。
そしてその袋を担ぎ、ブチャラティと共に、またジッパーで地上へと降り立った。
「っはぁ…絶対にドアの前に見張りいたよぉ」
ホテルから少し離れた森林で、私は張り詰めた緊張感を吐き出すように大きく息を吐いた。
「いつ見つかるだろうってハラハラしちゃった」
「しかし、思った以上にうまくいったな」
怖いくらいだ、とブチャラティはゴソゴソと動く袋を見て言った。
「順調ならそれに越したことはないよー、はぁ〜これで終わりだ〜」
私がぐーっ!と屈伸をした刹那、遠くからライトが近付いてくるのが見えた。
見回りの警官だ。
私は慌てて男の入った袋を植木に隠す。
するとブチャラティが、ガバッと私に覆いかぶさってきた。
「ブチャっ…」
「ん?何だお前達、そこで何をしている」
ライトがピカッと私達を照らす。
一瞬目がクラッとした中、ブチャラティがぎゅっと遠慮なく私の胸を鷲掴みにした。
「ひゃあんっ」
「見ての通り、ナニ、をしているんだ」
そう言って遠慮なしに優しく胸を揉まれて、少し動揺しながらも、私はこれは作戦なのだと理解した。
「そ、そうよお巡りさん、二人の愛を邪魔しないでちょうだい」
仕返しとでも言うように、私もブチャラティの服の隙間から背中をツー…と撫でる。
ブチャラティが一瞬ピクリと動いて、してやったりだ。
「全く…この辺りはギャングが出るって噂だ。イチャつくんならホテルへ行きな」
「そうさせてもらうよ」
ブチャラティがそう言うと、警官ははああ〜と大きなため息をついて道を歩いて行った。
「…誤魔化すにしても、もう少しなかったのかしら」
今だに胸に置かれる手をどうしようかと思いながら、じと目でブチャラティを見上げる。
「すまない、結果オーライと言うことにしておいてくれ」
そう言ってやっと私の上から退くと、何事もなかったかのように男の入った袋を引き摺り出した。
「また見つかると面倒だ。きょうこのスタンドを発動させたままホテルまで移動するぞ」
「りょーかい」
私はスタンドを発動させる。
もう少しで朝日が登る時間だ。
その頃には、多忙極まりなかったこの任務も終わりを告げるだろう。
私は少しホッとしながら、ブチャラティと夜のリゾート地を静かに走った。
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