ジョルノ様は神様です! | ナノ



二日酔いの眠り姫


「っもー!無理!」
私はよたよたとアジトのソファに近付くと、重力に任せてバフン!とソファに体を沈めた。
スカートがめくれて太ももが露出している気がするが今はそれを直す体力もない。
指先一つだって動かすのが億劫だ。
私はうああ…などと呻きながらソファに横たわる幸せを噛み締めた。
「いつもの元気はどうしたんだよ」
自分の事で精一杯なせいで気付かなかったが、近くの椅子にミスタが座っていた。
「昨日飲みすぎたみたいで…記憶はあまりないんだけどさ…。それなのに立て続けに任務に駆り出されたら流石の私もバテるわよ…」
ソファにうつ伏せになりながら答える。
それだけでも全身から体力が吸い取られていくようだ。
私は二日酔いでズキズキと痛む頭を押さえて寝返りをうつ。
「ミスタぁ…頭痛薬持ってきて…」
「ったく…そんなんになるまで飲むんじゃねーよ」
ため息をついたミスタはしかし、席を立ち奥の部屋へ消えて行った。
きっと薬箱を持って来てくれるのだろう。
「ミスタは優しいなぁ…」
私が独り言を言った時、キィ、とアジトの扉が開いて誰かが入ってきた。
「っあ」
「あなた…何て格好をしているんですか。痴女ですか」
入って来たのは任務終わりのジョルノ様で、私の姿を確認するや否や眉間にシワを寄せてあからさまに嫌そうな顔をした。
そう言われて途端に恥ずかしくなり、私は今持てる全ての力を使ってスカートを直した。
「ジョルノ様、任務、お疲れ様です…」
「あなたも、立て続けに3件もお疲れ様です」
ジョルノ様はこちらを見ず、近くの椅子に座り飲み物をオーダーした。
私はジョルノ様に絡みにいく元気もなく、またうつ伏せになりジッ…とした。
途端に眠気に襲われる。
「…あなたが静かなのは、珍しいですね」
ジョルノ様の声が心なしか遠くから聞こえる。
私の意識が遠ざかっているのだろうか。
私は返事もできずに、ただぐったりとソファに横たわったまま動けずにいた。
あ、意識が途絶える。
そう思った矢先、頭に暖かい何かがぽんっと乗せられた。
「お疲れ様です」
その声と同時に、頭をなでなでと優しく撫でられる。
ジョルノ様に頭を撫でられている!
そう理解すると、私はバッ!と上半身を持ち上げた。
「元気になりました!」
それを見たジョルノ様は驚いた顔をしたが、すぐに苦笑して再度私の頭を撫でた。
それが心地よくて、私は両手が脱力していくのを感じた。
「…すみません、ちょっとだけ嘘です」
私はジョルノ様の顔を見たまま、またしなしなとソファにうつ伏せになってしまった。
「でも、元気になったのは本当ですよ、ありがとうございます」
私が力なく笑うと、ジョルノ様は少し考えるそぶりを見せた。
「…いつも」
「はい?」
「いつもこのくらい静かなら、可愛いと思えるんですけどね」
ジョルノ様の言ったことが理解できず、私は数秒固まった。
「………今、私告白されました?」
「あなたの耳はどうなっているんです?」
ジョルノ様は呆れたように言い、私の頭に置いていた手を退けてしまった。
私はそれを名残惜しいと思うも、再度おねだりをする元気はなかった。
「今のがそう聞こえたのなら本気で病院へ行って下さい」
「へへへ…ジョルノ様はいつも、厳しいなぁ…」
私は力なく笑い、もう体力の限界を感じた。
せっかくジョルノ様とお話をしているのに、耐え難い睡魔が一気に私に押し寄せる。
「そんな所が、大好きです…」
そう言い残して、私はそのまま眠りについた。
「…」
ジョルノ様は眠った私をジッと見つめ、私の髪の毛を梳いた。
そして頭に一つキスを落とす。
しかし深い眠りについた私は、そんな事を知る良しはなかったのだった。
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