ジョルノ様は神様です! | ナノ



シザンサスをあなたに


今日は街の見回りついでに、前にジョルノ様と二人でチンピラを追い払った花屋さんを覗いていた。
あまり詳しくはないが、花は好きだ。
何だかハッピーな気持ちになれる。
店のおばあさんと他愛のない会話をしていると、不意に後ろから声をかけられた。
「帰りが遅いと思ったら、随分楽しそうですね」
私はその声にビクゥッ!と大袈裟なくらいに反応した。
「ジョルノ様!」
「ブチャラティが何かあったのかと心配していましたよ」
呆れた顔で言う彼を見て、心配される程時間が経っただろうかと不思議に思い腕時計を見ると私は更に驚いた。
もうアジトを出て5時間は経過していた。
「すみません!街の人とお話をしていたらつい…」
私がしゅんと項垂れると、花屋のおばあさんが申し訳なさそうに声をかけてくれた。
「ごめんねぇ、私が引き止めたばっかりに」
「おばあさんは悪くないですよ!また今度お話の続き、聞かせて下さい」
そう言ってニコッと笑うと、おばあさんも眉を下げながら微笑み返してくれた。
「では、アジトに帰りましょうか」
ジョルノ様に言われて、私はおばあさんに手を振り二人でアジトへ向かって歩き出した。
そしてあることに気がつく。
「ジョルノ様、もしかして私を迎えに来て下さったのですか…?」
「任務のついでですよ」
期待の眼差しを向ける私に、ジョルノ様はさらっと答える。
それはそうか。
いくら帰りが遅いと言っても子供じゃあないんだから、ブチャラティもわざわざ人を寄越すなんてしないだろう。
私は納得して、しかし少し残念だなぁなどと思いながら、硬い石畳を見つめて歩いた。
すると、私の少し前を歩いていたジョルノ様が、振り返らずに私に話しかけて来た。
「花、好きなんですか?」
「え?えぇ、詳しくはないのですが、見ていると幸せになれるので好きですよ」
いい匂いですし、と付け足すと、ジョルノ様は顎に手を当てて何か考える素振りを見せた。
何だろうと斜め後ろからそれを眺めていると、ジョルノ様が歩く速度を落として私の隣に並んだ。
そしてポケットをゴソゴソとあさると、ふわっと滑らかな仕草で握った手を私に向かって差し出した。
それを私の前でパッ…と開くと、そこに落ち着いた紫色の花が現れた。
「わっ…」
ふわっと香る花の香りが、それが本物である事を証明している。
「プレゼントです」
そう言うと、ジョルノ様はそれを私の服に飾り付けた。
「えっいいんですか!?と言うか、何で…っ私何も…!」
私がわたわたと慌てていると、ジョルノ様は少し面倒臭そうに頭をかいた。
「この間、話しかけても無言だった事があったでしょう」
私はあ、と思い出す。
「ご機嫌取りです」
「あ、あれは…!」
そう言ってジョルノ様はまた私の少し前をスタスタと歩き出す。
あんな自分のことしか考えていない私の取った行動を、ジョルノ様は少しでも気にかけてくれていたのだろうか?
そう思ってジョルノ様の背中を見ると、私はなんてバカな事をしたのだろうと一気に悲しさが押し寄せて来た。
「ジョルノ様ぁー、ごめんなさいー」
「何で泣くんです…!?」
ジョルノ様の服を引っ張り思わず泣く私を見て、ジョルノ様はぎょっとした顔をした。
すれ違う人々も何だ何だと不審な顔をしていたが、今の私はそんな事は気にならなかった。
「泣くほど嬉しいのと、っ泣くほど申し訳ない気持ちだからからです」
私が嗚咽混じりにそう言うと、ジョルノ様は苦笑いをしながらぽんぽんと頭を撫でてくれた。
「全く、忙しい人ですね」
早く帰りますよ、と言って腰をトンっと押され、私は涙目ではい!と答えた。
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