ジョルノ様は神様です! | ナノ



罰ゲームorトキメキ


恋とは盲目だと言うけれど、本当にその通りだと思う。
ジョルノ様の仕草一つ一つにドキドキするし、話しかけられると心臓が爆発するんじゃあないかとさえ思う。
そしてこの間の一件のように、ジョルノ様に耳元で囁かれると、もっとジョルノ様のことが好きになる。
「これが恋ってやつなのね…」
「任務中くらいその腑抜けた面どうにかなんねーのかよ」
私がぽやーんと空想の世界に入り独り言を言うと、車の運転席に足を放り出したアバッキオがとても不機嫌そうに呟いた。
私は今アバッキオと二人でとある人物の護衛任務に来ている。
今は車の中で待機中で、ついうっとりとジョルノ様の事を考えてしまった。
「そんなにツンツンしなくてもいいじゃない。私とジョルノ様の恋を応援してよ」
私はマニキュアを塗った爪を弄りながら不満をたれる。
ジョルノ様がチームに入ってしばらくたったが、アバッキオは一向にジョルノ様との距離を縮めようとはしない。
これはチーム的にもあまりよくない事だと思う。
「アバッキオ、もっと仲良くできないの?ジョルノ様はあんなに素敵な方なのに」
「うるせぇ、俺はあいつが嫌いだ、たぶん一生な」
ケッと悪態をついてアバッキオはタバコに手を伸ばした。
「てめーもてめーだ。アジトでも任務中でも顔面緩みまくりやがって。ちょっとはわきまえろよ」
そう言われて私はうっと黙り込む。
確かに私のジョルノ様に対する態度は度が過ぎているかもしれない。
でも、例えばこの間みたいに耳元で囁かれれば誰だってときめくに決まっている。
「…あ」
もしかして耳元ってのがポイントなのかしら?
私はよいしょ、と助手席に座り直すと、アバッキオの肩をくいっと引き寄せた。
そして耳元で
「ごめん」
と囁いてみた。
するとアバッキオは、バッ!と凄い勢いで私の手を振りほどき右手で私をグイッ!と力一杯引き離した。
「いきなり何するんだ気色悪りぃ!」
「あれ?身を持って体験してもらおうと思ったんだけど…胸がキュンキュンしない?」
「するわけねーだろ!アホか!」
アバッキオは凄い剣幕でキレながら、右耳をゴシゴシと拭う。
私はあれー?と言いながら頭をかいた。
「私はするからさぁ」
「それはジョルノにされるからだろ!」
ふざけやがってと怒りながら、アバッキオは取り出したタバコに火をつける。
「こっちは何かの罰ゲームを受けた気分だ…」
アバッキオがタバコを吸いながら心底嫌そうにそう呟く。
遠慮なく吐かれた煙を逃がす為に窓を開けながら、私も頬を膨らませる。
「そこまで言うことないじゃない」
しかし、そうか、私だけか。
でもそれだけ幸せを感じる事が多いと言う事ね!とポジティブに考える事に決めると、丁度雇い主が戻って来てアバッキオが車のエンジンをかけた。
私は言われたばかりなので表情が緩むのに気をつけながら、よし!と仕事モードに頭を切り替えた。


「ジョルノ様ぁ!」
そらからは特に襲撃などもなく平和に任務は完了した。
私はすぐにでもジョルノ様に会いたくて、車に鍵をかけるアバッキオなど放って一足先にアジトまで帰ってきた。
「あぁ、おかえりなさい」
今日はジョルノ様も任務があった筈だが、運よく出発前に出迎えられた。
しかもおかえりなさいなどと声をかけてもらった!
何て幸せなんだろうとヘラヘラしながらジョルノ様が座るソファまで近付く。
そして上機嫌な私は、ジョルノ様にも耳元で
「ただいまです」
と囁いた。
そしてそのままスキップでブチャラティに今日の任務の報告をしに行く。
その後少し遅れてアバッキオがアジトに入ってきて、ソファに座り耳を抑えるジョルノ様を見て鼻でフンっと笑った。
「お前にとっては罰ゲームじゃないんだな」
「は?何の事ですか」
「別に、ガキは単純でいいな」
そんな会話がされたなんて事は、私は知る由もないのであった。
×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -