ジョルノ様は神様です! | ナノ



冷たいのがお好み


「ジョルノ様好きです!」
「知ってます」
「ジョルノ様罵って下さい!」
「暇があれば」
「ジョルノ様踏んで下さい!」
「またの機会に」


「…最近ジョルノ様が冷たい気がする」
「そうか?やっと馴染んできたって感じじゃあねーか」
テーブルに突っ伏してうなだれていると、ミスタがペラペラと雑誌を捲りながら適当に答えた。
「私に対する態度が適当過ぎやしないかしら…」
「だから、慣れてきたんだろ」
慣れ…つまりいいようにあしらわれるのだろうか。
私はこんなにも罵倒して欲しいのにぃ…!
私は椅子の背に海老反りながらどうしたものかと考える。
ジョルノ様がチームに馴染むのはとてもいい事だ、ディ・モールトベネだ。
同じチームにいれるだけでも幸せなのだが、どんどん構って欲しいと欲が出てきている。
しかし言えば言うほどジョルノ様は離れて行ってしまう。
うーんと伸びたまま考えていると、私は あ!とひらめいた。
「押してダメなら引いてみろ作戦!」
テーブルにバンッ!と手をつき叫ぶと、ミスタが耳を抑えてこちらを見た。
「何だよいきなり。作戦?」
「私からジョルノ様ジョルノ様って行くから冷たくあしらわれるのよ!それならいっそ今日一日ノータッチにするの!」
そう言って力説する私に、フーゴはしかめっ面で問う。
「あなた、我慢できるんですか?」
「が、我慢できる、し…」
後半になるにつれて声が小さくなる私に、フーゴがどうだか、とため息をついた。
私はぐぬぬと口をへの字に曲げ、とにかく!と叫ぶ。
「私は今日!ジョルノ様に一切接触しません!」
「お、言い切ったな。じゃあ、お手並み拝見といくか〜」
ミスタはニシシと笑い、ばさっと雑誌をテーブルに投げた。
そこに、タイミングよくジョルノ様が奥の部屋から出てきた。
私はガタガタッと慌てて椅子に座る姿勢を正すと、普段は読まない小説を開いた。
ミスタはあからさまにこちらに視線をやり、フーゴも紅茶を飲みながらこちらを伺っている。
「きょうこ、来ていたんですね。先程ブチャラティと話していたのですが、次の任務について少しいいですか?」
まさかこんな時に限って業務の話!
私情を持ち込んでいいものか悩んだが、ニヤニヤ笑うミスタを見るとこちらも意地になり返事はしない事にした。
返事の代わりに、コクリ、と一つだけ頷く。
「…きょうこ?聞こえていましたよね」
そう言ってジョルノ様は私の隣に来て、テーブルに軽く腰を置いて尋ねる。
その口調が責めるようでたまらなくて、私は早くもこの作戦を決行して良かったと心底思った。
しかしまだ返事をしてはダメだ。
私は罪悪感に駆られながら己と葛藤した。
またコクリと頷くだけで返事をせずにいると、ジョルノ様が不機嫌そうに私の名前を呼んだ。
「きょうこ、きょうこ」
「…っ」
返事がしたい。
だけど我慢だ、言い出したのは私だ!
「何を不貞腐れているのかは知りませんが、任務の話なんです、ちゃんと返事をしてください」
それでも黙っていると、ジョルノ様ははぁ、とため息をついて私の側から離れた。
流石にしつこかったかな…?
私が内心ハラハラしていると、いきなり首元に腕が回された。
「…っ!?」
「今度の任務の詳細について話があるので、こちらに来て下さい」
耳元で囁かれたそれはジョルノ様の声で、つまり今 回されているこの腕の持ち主もジョルノ様と言うことだ。
私はカアアアッと一気に顔が熱くなってくるのを感じた。
喉元まで言葉が出かかった所に、耳元で吐息混じりにジョルノ様に
「言うことが聞けますね?」
と囁かれてもう私はノックダウンだ。
「は、はい…!」
ふにゃああっと溶けてなくなってしまうんじゃないかと思うくらいメロメロになってしまった。
ジョルノ様はいい子です、と言うと腕を解き、こちらに来て下さい、と促した。
私はミスタ達に対する意地や自分の言った事なんてトロトロに溶けてしまって素直にそれに従った。
ミスタはもう終わりかよ、とつまらなそうに呟いたが、私としては大満足だ。
それにやはりジョルノ様を無視するのは心が痛む。
「ジョルノ様〜!大好きです!」
「真面目に聞いてください」
ジョルノ様は資料片手にため息をついたが、私はやはりこれでいいのだと笑顔で思った。
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