ジョルノ様は神様です! | ナノ



赤い糸


その日もアジトはいつも通りだった。
ブチャラティは幹部に呼ばれて席を外しているが、音楽を聞くアバッキオ、ピストルの手入れをするミスタ、ナランチャに勉強を教えるフーゴと、平和なものだった。
そしてきょうこは、読書をする僕の隣で何やら工作をしていた。
テーブルに色取り取りのビーズやリボンを置いて、器用にその形を作り上げていく。
「何をしているんですか?」
「!はい!学校の課題でアクセサリーを作っているんです」
僕が話しかけると彼女はピクッ!と反応をして、凄く嬉しそうにそう答えた。
私、結構得意なんです、なんて言いながら、細い糸にビーズを通して行く。
その姿はとても女性らしくて、少し意外だなと感心した。
変態的な彼女とギャングな部分の彼女はいつも見ているが、こうして静かにアクセサリーを作る彼女は新鮮だった。
「うまいものですね」
「器用貧乏なんですよ、私」
話しながらもテキパキと作業を終わらせていく。
邪魔するのも何だと思い読書に戻ろうとした時、不意にジョルノ様!と名前を呼ばれた。
「何ですか?」
「小指を出して下さい!」
何を唐突に…と疑問に思いながら彼女に向かって小指を出した。
すると彼女はスルスルと僕の小指にリボンを巻くと、それを自分の小指と一緒に結んだ。
「運命の赤い糸です」
語尾にハートマークが付くんじゃないかと言うくらい上機嫌に彼女が言う。
お互いの小指をキュッと蝶々結びにしたリボンは赤色で、彼女の耳もほんのり赤色になっていた。
「…」
ブチィッ!
「あああ!酷い!」
僕はその赤いリボンを力いっぱい引きちぎった。
「ジョルノ様との赤い糸がぁ…」
「くだらない事してないでさっさと課題でもなんでもしたらどうです。留年しても知りませんよ」
僕はパンパンッと手を叩くと、残りの紅茶を飲んで席を立つ。
「ああん…そんな釣れないところも好きです」
きょうこはそう言って素直に作業を再開した。
僕がそれを横目に見て扉に向かうと、丁度ブチャラティが帰って来たようだった。
「チャオ、ブチャラティ」
「チャオ、ジョルノ…ん?」
すれ違い様に、ブチャラティが不思議そうな顔で此方を見て来た。
「ジョルノどうした?顔が赤いが」
「…気のせいですよ」
そう言って僕は特に行く当てもなくアジトのドアを開けた。
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テーマ「人外ファンタジー」
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