ジョルノ様は神様です! | ナノ



その痛みはとても甘く


その日ジョルノ様と二人で任された任務はカジノへの集金。
何やら最近そのカジノにちょっかいをかけてくる輩がいると言うことで二人で向かったのだが、私は正直楽な任務だなーと楽観していた。
ジョルノ様と午後のデートだなんて浮かれてさえいた。
ブチャラティに聞かされた時は、少なくとも銃撃戦になるなんて思ってもみなかったのだ。


「いやぁ、カジノのオープン前で良かったですね。一般人を巻き込まずにすんで」
私は間髪入れずに飛んでくる弾をテーブル越しに感じながら、のほほんとジョルノ様に話しかける。
「何を呑気に言っているんですか…」
同じテーブルを盾にしてジョルノ様は呆れたように言った。
その間にも馬鹿の一つ覚えのようにテーブルに弾が撃ちつけられる。
そろそろ穴が開きそうだなんてぼんやりと考えた。
フロアを見渡す限り敵は2人。
カジノに入った瞬間撃たれた時は少し驚いたが、スタンド使いでもなさそうなので何とかなりそうだ。
私は太腿に忍ばせてあった拳銃をゆっくり構える。
「あなたが行くんですか?」
「はい。今の状況なら、私のスタンドの方が有利に動けると思うので」
心なしかジョルノ様が不安気に言う。
私を心配しているのか頼りなく思っているのかはわからないが、とにかく嬉しい。
ダンダンッ!と撃ち込まれていた弾の音が一瞬止んだのと同時に、私はカジノのフロアに躍り出た。
「やっと出て来やがったか!」
一人がこちらに銃を向けたタイミングで、私は声を張り上げた。
「ーーーーーー!」
「…っ!?」
私のスタンド能力は、一定時間相手に自分の姿を認識させにくくする能力。
完全に消えたりはできないのが欠点だけれど、今はそれでも十分だ。
「なっ、あいつどこに消えやがった!」
「落ち着け!またどこかに隠れ、ぐあっ!」
私の姿を見失っている内に、敵の一人を至近距離で撃ち殺す。
そこでやっと私の存在を認識したもう一人が、パニックを起こしたようにパンパンッ!とデタラメに銃を撃ってきた。
それは私の右太腿に命中したが、私は全く動じず冷静に照準を相手の頭に合わせる。
「怯むと思った?」
グッと銃を持つ手に指に力を入れる。
「気持ち良くてたまらないわよ!」
私はそのままパァンッ!と見事なヘッドショットを決めた。
敵が床に倒れるのを見届け、私も床に膝を付く。
「…もっとかっこよく決めたかったのですが」
「バカですか、あなたは」
ジョルノ様が敵の生死を確認して、呆れた顔でゆっくりと近付いて来た。
「仮にも女性なんですから、無茶はしないで下さい」
「これくらいで無茶なんて言ってたら、ギャングなんてやってられません」
そう言ってナイフを出し、太腿に命中した弾をほじくり出そうとした。
するとジョルノ様が私の手をやんわりと掴み、それを阻止した。
「弾はそのままでいいです、それを使いましょう」
「んっ…」
そう言うと、ジョルノ様はスタンドを出して私の傷口にそっと触れた。
「僕のスタンドで傷口を直します。ただし治す訳じゃあないので、痛みを伴います。我慢して下さいね」
「ジョルノ様にもらう痛みなんて、ご褒美じゃあないですか…っ」
黙れとでも言うように、唐突に治療が開始された。
内から抉るようなその痛みは、銃で撃たれた痛みより強く感じた。
「んっ、ぅ…」
「大丈夫ですか?」
私は痛みにジョルノ様の服をキュッと掴む。
ジョルノ様は大丈夫かなんて聞きながら、全く心配していないような涼しい顔をしていた。
「ミスタはもっと騒いでましたよ」
「ふふっ…むしろ、気持ちよくて、困っちゃうくらいです…っ」
「そうですか、なら遠慮なく」
ジョルノ様はスタンド能力を強め、それに伴い痛みも強まった。
私は突然の痛みに身体をしならせた。
「んああっ…!」
「…何て声を出しているんですか。あなたは本当に変態ですね」
はぁはぁと痛みに耐える私を、ジョルノ様は何とも言えない顔で見つめた。
仕方がないじゃないですか、実際ジョルノ様に触れられている傷口が熱く疼くのですから。
私が一人で悶えている間に治療は終わった。
それは一瞬にも途方もない時間にも思えて、私はぐったりとジョルノ様に体を預けた。
「はい、終わりましたよ」
「ありがとう、ございます…」
何だか戦闘よりどっと疲れた気がする…。
呆然として立てないでいると、ジョルノ様がスルリと私の太腿を撫で、今治療を施した箇所にちゅっと優しくキスをした。
「っ…!?」
「お疲れ様でした」
全身を電撃が走り抜けて行く感覚に、一瞬頭が真っ白になる。
「ジョッジョルノしゃまっ…!」
「早い所集金してしまいましょうか」
ジョルノ様はくるりと後ろを向き歩き出すと、キッチンに避難していた店員の元へ行ってしまった。
私はその背中を見つめながら、腰が抜けてしばらくその場を動けないでいた。


2017-01-06
スタンド名修正しました。
お好きなスタンド名を想像して下さい。

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