「待ち人…恋人と再会します…!」
「それって新一くんのことじゃない!?」
「よかったやん!今度アタシにも会わせてーな!」
「(再会ってか、毎日会ってるんだけどね…)」
「ゆいなは?おみくじなんて書いてあった?」

蘭の言葉で、ゆいなはまだ開いていなかったおみくじを開いた。

「中吉…」
「まあまあねー」
「大切な人の傍から離れてはいけません、後悔します……だって」
「大切な人?」
「やーん!もしかしてゆいな、好きな人できた!?」

ぎくっとゆいなは肩を揺らした。
快斗のことは、蘭にも園子にも言っていない。
言ったとして、紹介しろと言われるのがオチで、かといって絶対に紹介するわけにはいかないのだから。怪盗を探偵に引き合わせることなんてできるはずがない。

「で、できてないできてない!まーったく居ない!」
「必死になるところが余計に怪しい!」
「もー!信じてってば!」

女子たちが、ゆいなから本当のことを引き出そうと躍起になっているのを、男二人は傍から見守っていた。

「…やって、どないする工藤?」
「……バーロー。違うって言ってんじゃねーか」
「はは、ホントかどうか、得意の推理で見破ったらええんちゃう?」
「うるせー」

コナンがちらりとゆいなを伺い見ると、いつの間にかこちらを見ていた彼女と目が合い、思わずぱっと逸らしてしまった。
それに首を傾げたゆいなが近づいてくるものだから、コナンは慌てて咳払いをした。にやにや笑う服部の足を踏みつけて、しゃがみこんだゆいなに、冷静を装い、どうした?と問いかける。

「んーなんか話してたから。どうかした?」
「いやー!どど、どないして午前3時まで時間潰そかなーって、な、工藤!」
「(こいつほんと演技下手だな……)」
「私、なんか美味しいもの食べたい!」
「ええな!そうしよか!」
「お好み焼きがいいなー!」
「おう、まかしとき!」

いつのまにか意気投合している二人を、面白くなさそうに見つめているコナンには気がつかずにいるゆいなのポケットから、軽快な音楽が流れた。
画面を開いてはっと固まったのを不審に思いコナンが声を掛ける前に、ゆいなは通話ボタンを押して、駆け足で彼らから離れた。


「彼氏、かもな」


ぽそり、呟いた服部の足を、コナンは今度こそ、全体重を使って思い切り踏み付けた。


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