唯、そこに或り続けて




 ひやりと指先に何かが触れる。視線で腕を辿れば、繋がれた指先が目に入った。
 滅多に触れることはないのに、空から舞い落ちる雪のせいか自然と女との距離が縮まる。生ぬるい己の掌で小さな掌をしっかり包み込んで歩き出す。
 
 冷たい風が通り抜ける中、ただただ、温もりだけはそこに在り続けてくれと。

2016.02.23





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