温もりを抱いて



衣擦れの音に目を薄っすら開ける。
ぼんやりと浮かぶ姿が白を纏うと意識がはっきりとしてきた。
妙は横たわったまま見上げる。
愛刀を腰に差し込むと一度も振り返ることなく、明け方の白に溶け込んだ。出て行く男の姿が瞳にひどく焼きつき、まるで胸まで焼かれたように熱くて、涙だけはと歯を食いしばって堪えた。



2016.01.01





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