この声が涸れるまで





透明な雫が幾つも流れた跡を見て、思わず歯ぎしりした。
いつ目を覚ますか知れない病人の側に付きっきりで看病する妙は何を思っただろう。
舟を漕いだ頭が何度も不安定に揺れる。
支える為に差し出した指先も包帯が巻きつき役に立たない。

「…お妙」

掠れた声で名前を呼ぶ。

戻ってきたぞと夢の先に届けて。




2016.01.01





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