白い獣





縁側には先客がいた。何食わぬ顔で日向を独り占めするそいつは幸せそうに目を閉じている。

「あら、銀さん」

白い女の指が毛並みを撫でると心地好さそうに喉を鳴らす。気にくわない。

「そこ俺の場所なんだけど」
「え?」

驚く女の膝に構わず頭を乗せると先客が文句を叫ぶように鳴いて縁側を後にした。



2016.01.01





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