恋花火



厚い指先が冷えた指先と絡んで、人混みを泳ぐように駆け出した。背後で自分を呼ぶ声が聞こえて、咄嗟に結い上げた髪を下ろした。

祭り囃子と太鼓の音が遠のくと二人の足はようやく止まる。

「何で髪解いたの」

息が弾んで答えられずにいると、黒髪を一房すくい上げられる。

「まァ解く手間が省けたな」



(追ってくる男に見つからないように髪を解いたんです)


そう口にしようにも既に唇は塞がれてしまい、下ろした髪ごと項に手をかけ更に引き寄せられた。
木々達に隠れて小さなキスを繰り返していると、ドン、と夜空に花が咲く。

「…ぁ」

明るく照らされて今さら頬が染まる。

「花火みてェに真っ赤だな…」







SS垢より再掲載


2015.07.30






2015.10.14





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