夏の魔物





「あ」

煙草に火を付けてから目に入ったそれに慌てて換気扇の下に避難した。
吸い込んだ煙を吐き出しながら、少し離れた部屋に掛かった白い制服を見つめる。

冬服から合服を挟んで、このほどようやく夏服に切り替わってからというもの、普段では拝むことの出来なかった半袖から覗く白い腕、布が薄いせいで透けて見える内側に何度胸を高鳴らせたことか。
どうせ放課後や休日には、好きなだけ見れると言うのに、志村妙という女のせいでいつだって脳内はピンク一色なのだ。

「…おいおい、どんだけ好きなの」

そこまで考えると可笑しくなる。独り苦笑すると、風呂場の扉が開く音が聞こえて吸い始めたはずの煙草を銀八は早々に揉み消した。





フォロワーさまより頂いたお題より『夏服』




2015.07.30





×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -