朱が導くは、光か闇か
目の端で揺れる朱に彼岸であることを思い出す。
その様はまるで誘うかのようで、銀時の心を揺さぶる。
儚さと畏怖を兼ねているようなそれから目を逸らす。
左頬に影が差したかと思えば、凛とした声が耳に良く通った。
「また会える日を楽しみに」
思わず妙の顔を凝視すると、それ以上は何も言わずに柔らかく笑んでそっと己の掌を包む。そこで初めて、己の掌に汗が滲んでいたことを知る。
嫌がるそぶりも見せない妙に安堵すると、その温もりに応えるように銀時も握り締めた。強く、強く。
「あぁ」
フォロワーさまより頂いたお題より『彼岸花』
2015.07.30
×