夢見心地






前髪を掬うように風が通る。

寝返りを打とうとすると右腕に重みを感じた。
薄らと浮上する意識の中で、もう一度風が通る。

鼻先にふわりと優しい香りが届く。

目を開けずとも右隣に触れる温もりがなんであるか気付く。

大事で、大切で、手放せないもの。

それを感じとると心地よさは増して、意識はまた微睡む。
横で無防備に眠る妙をまるで追いかけるように夢の中へ溶けて行った。

夢の先でも、会えるように。





2015.05.05





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