誘われたのは、





ふいに伸ばされた指先が頬をそっと撫でる。
夜着を纏った妙は月夜に照らされて、いっそう美しく映えた。横目で盗み見見ると柔らかく微笑む眼差しとかち合う。

「…それ、誘ってんの?」

冗談交じりで口からこぼれ落ちた言葉に、しかし妙は微笑んだまま答えない。けれど指先は誘うように銀時の唇をなぞった。

たまらずに艶めく指先を捕らえて引き寄せる。すっぽりと腕の中に収まった妙の体は柔らかく、すぐに体温が溶け合うようだった。

「…誰にでもこんなことを?」

胸元に手を添えた妙が試すように見上げてくる。その掌の下で忙しなく動く鼓動に気付いているくせに。

「そっちこそ」

探り合う瞳が近づいてやがて互いに目を閉じる。

一瞬だけ重ねた唇は音もなく離れた。

ほんのりと染まった頬を隠すように妙は肩に押し付ける。黒髪の隙間から覗く白い妙の首筋に誘われるように唇を寄せると柔肌を強く吸った。妙の肩が震えたのが分かると唇を離した。
そのまま無防備な耳に唇を当て吹き込むように囁く。

「…お前じゃねぇとダメだわ」

飾りのついていない耳たぶを口含んで軽く吸った。思ったよりも甘い吐息となって妙の鼓膜を震わせたことに満足すると、口を開いた妙の言葉を待ちきれずに唇を押し付けて塞いだ。







銀妙への3つの恋のお題:それ、誘ってる?/お前じゃなきゃダメなんだ/見える位置に残された痕

ほんの少し加筆しました。




2015.04.04





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