秋色に染まる
「銀さん見て」
見事に紅く染まった木々の葉を見上げていると隣から声がした。差し出された手の平には先程からハラハラ舞う紅葉の葉が乗せられていた。
「…綺麗ね」
妙の肌の白さに一層紅く映る。見惚れていると風に吹かれて手を離れた。あ、小さく出た妙の声に銀時が咄嗟に落ち行く葉に手を伸ばす。
幾らでも散りゆく紅葉はあったけれどどうしてもそれを掴みたかった。いつか枯れてしまうとしても、妙と見たと言うだけでそれは特別に映った。
「…ん。もう落とすなよ」
白い手を取り手の平に葉を押し付ける。嬉しそうに笑うと妙が指を絡めてきた。
「こうしてたらもう落ちないわ」
繋いだ手の内に収まる紅葉の色がまるで全身に巡ったように、熱くなる頬を妙に見られたくなくてもう一度、紅を見上げた。
2014.11.22
×