幾夜を過ごしたとしても





夜も深まる頃。

掛け布団の脇から潜り込んで来た男は後ろから妙を抱き込んだ。鼻先を妙の後頭部辺りに押し付けると、耳裏にかかる息遣いが擽ったくてつい笑ってしまった。


「…笑わせてやってるんじゃねぇんだぞ」

耳のすぐ側で低く声が響き、伸びて来た手が容赦無く夜着を乱していく。

柔らかな肌に手を添えると、耳穴に舌を忍ばせた。水音が鼓膜に響いて、咄嗟に息を止める。
やわやわと薄い胸を揉む男の手がだんだんと強弱をつけて妙を追い込む。

「俺ァ誘ってんだかんな」

男の唾液で濡れる耳に、それだけで燃えるように熱くなる体をもっと愛して欲しくて妙は銀時を振り返った。

暗闇に光る銀髪に手を差し込む。冷えた髪が温もりを得た指先に心地よかった。

「誘われても、いいですか…」

揺れる瞳が熱く漲る瞳と重なったのも一瞬、組み敷かれると息をも奪うように唇を覆われた。


「…いーよ」




幾夜過ごしても初めてのように愛し合いたい。







2014.11.19





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