指先でたどる







瀕死の状態で担ぎ込まれたのは三日前。
全身傷だらけで、息もやっとだった。薬が効いて眠っている男の唇にそっと撫でるように指先で触れた。

それからゆっくりとたどり、喉仏、鎖骨、心臓…堪え切れず涙がこぼれ落ちる。
失う事に慣れなんて来ない。

「おかえりなさい、銀さん」

何度でも言わせて下さいね。






2014.06.15





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