夢じゃなかった、抱きしめたくて、好きだなんて言わない





鳥の声が聞こえて朝が来たことを告げる。
重い頭を上げると隣で寝息が聞こえた。顔を覗き込むと、白髪頭の男は気持ち良さそうに寝入ってた。
妙は自分の身体に目を落とす。所々に赤い斑点が散って、夜の出来事は夢ではなかったようだ。
掛け布団で前を隠して起き上がると、男を見下ろす。

男とは何も約束はしていなかった。想いはあっても告げたことはなかった。まさか同じ想いを銀時も抱えていたとは。
苦しそうに顔を歪めてポツリと、詫びを述べた昨夜の男に妙は何も言えなかった。ただ、抱きしめたかった。

勢いから倒されたのに、触れる手や唇はどうしようもなく優しくて。

「ん…」

寝返り打った銀時が、妙の腰元に顔を寄せた。
ドキリとする。
未だ気持ち良さそうに眠る銀時に悔しさが込み上げて、思わず頬を捻り上げる。眉間にシワを寄せる銀時の耳元に唇を寄せた。

「これで済んだなんて思わないで下さいね」

言葉でくれるまで、好きだなんて言ってあげないんだから。








Twitter 診断メーカー 志村妙 
3つの恋のお題
1朝になった、夢じゃなかった
2今ここで抱きしめたい
3好きだなんて言ってあげない




2014.08.18





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