そっときゅっと



 
 

 そっと絡んだ指先から温もりが広がっていく。歩幅を合わせて歩く男をチラリと見上げると瞳が合う。
 
 「…なに?」

 素っ気ない言葉とは裏腹に力が篭るのが伝わって来た。解こうなんて欠片も思ってないのに。

 「何でも」
 
 クスリと笑むと二人を繋ぐ腕を態とらしく揺らしてみせた。

 密かな想いが募る夜の事。





2016.11.06





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