とん、と肩を押されてトスンと後ろからキャッチされる。一見少女漫画のワンシーンのようだがところがどっこい、相手は男で俺も男だ。


「南沢くん、今回のテストも10番以内だったねぇ?」


背後の男Aが脇をくぐり抜けて来た腕で俺を抱き込んだ。


「○×高校余裕、なんでしょ?」


最初に肩を押した男Bが、にやりと笑う。2人とも知らない顔で、もちろん名前も知らない。ただ口振りからして多分学年は一緒なんじゃないだろうか。残念な事にそれ以上の情報は持ち合わせていないから後はすべて、わからない、だ。


「成績優秀」
「容姿端麗」
「女の子にモテモテ」
「あの雷門イレブンの一員」
「本当、」
「南沢くんて、」
「か」
「ん」
「ぺ」
「き」



男Aがじりじりと俺を引っ張る形で壁に擦りよっていった。それに合わせて隙間を埋めるように男Bも近づいくる。それを隠したかったのか、ただ言いたかっただけなのか興味は無いが俺は褒めに褒めちぎられた。が、嬉しくないばかりである。


しばらくもせずに壁と俺にサンドされた男Aの図が完成し、それを満足そうに見た男Bがぐいっと迫ってきて、俺の足を踏んだ。


「南沢くん、捕まえた。」


ぐりりと足に力を入れながら男Bは汚く笑う。耳元では男Aの汚い笑い声がした。
あぁ………………、気持ち、悪い!!


「南沢くんさっきから何も言わないし抵抗も無いけど、大丈夫?意識ある?これからされること理解してる?まぁ、あんまり関係ないけど。」


ぐりりとまた足が圧迫された、ぐいっと顎を掴まれ上を向かされ睨み合う。踏まれた足と同じ分だけぎりりと歯軋りをした。そんな俺を見て嬉しさと憎さを含んだ笑いを鼻でかました男Bが言う。


「ほんと、南沢くんって100点満点。」


その声が合図だったかのように、今まで俺を抱き締めていた手がジャージのチャックに伸びる。ゆっくり、なんて言葉を踏み潰したように性急に強引にジッパーは滑り落ちていった。


「さぁ、楽しもうぜ、篤士くん?」


どこかでピストルでも鳴ったんじゃないかと疑いたくなるほど突如スタートした行為に俺は冷静に目を凝らす。不利な状況に置いて、確実にやるなら相手の隙を付くのがいい。そしてこういう時の隙とは大抵攻撃を喰らわした後の達成感と安心感とちっぽけな優越感のことを言うのだ。だから1発目は、特別。



ぐいと両頬を持たれ上を向いた顔に新幹線を真っ正面から迎えるような勢いで男Bの顔が迫ってくる。俺は反動を付けるために心持ちギリギリまで顔を引き、寸でのところで飛びついた。

ぱかっと開けた口はまっすぐまっすぐ相手の口へ。磁力でも働いているかのようなスピードでお互いの唇をぶつけ合った。それと同時にがぶりと噛みつく。男Bの顔が痛みに歪む、しかし俺にはそんなことどうだっていい。噛みつくと同時に振り上げた足で容赦なく急所を蹴り上げてから反対の足で腹部辺りを蹴り飛ばした。全く、男A、君が支えていてくれたおかげだね、君が居なきゃ出来なかったよ、感謝してるよほんと。


男Bを蹴り飛ばした足をそのまま脛を狙って振り子のように戻し、呻かし、前に傾かせた頭に思いっきり後頭部で頭突きをかます。緩んだ腕からするりと逃げ出し、男Aをやる協力してくれたから、お礼に君の急所にも一発。な?



∴≒#*$∵



うずくまる男2人をカシャリと携帯のカメラに収めたのはそれから3分後のこと。これを弱みにこれから上手く使ってやるつもりだ。先生に何か告げ口でもしようものなら、もちろんただではすまさない。人質変わりの学生証と慰謝料に財布の中身をありったけ頂戴した。唇に付着した血をペロリと舐める。


「血がまずい」
「レイプ犯」
「キスが下手くそ」
「喧嘩が弱い」
「ほんと、」
「おまえたちって」
「 」
「 」
「 」
「 」


べーって舌を出しながら携帯を見る。画面いっぱいの男達を高く、たかく、たかーく掲げた。画面の中で小さくうずくまって、何の取り得も無さそうな奴等だけど俺を襲おうとした行動力は褒め称えて、





5点
(まぁ、俺の足元にも及ばないけどね。)




∴≒#*$∵


南沢先輩好きすぎて辛い!梶ボイスキャラみんな好きです。鼻で笑われながら「20点」っていう南沢先輩ってエロくない?な妄想から来た代物ですが、まぁ私が書くと色気吹っ飛んだwwでも南沢先輩はエロい。拓南あついww



20110623 とこは