「ちょ、ちょっと!」
「・・・・・・」
「エース、痛いよ!ねぇ、ねぇってば!!」
「ぁ、悪ぃ・・・」
幾分歩くと、漸く足を止めた
「あのさ、全然、頭がついて行かないんだけど」
「なぁ、■■■」
「な、何?」
「お前、好きなヤツ居るか?」
「え?」
「俺は居る・・・中学ん時から」
「え・・・?」
その言葉は、鉛のように●●●の胸を突いた
エースには中学の頃から好きな人が居た
そもそも、告白してもフラれていたんだと漸く悟った
何故、エースに好きな人が居るという事を考えなかったんだろう?とさえ思っていた
「あん時・・・」
「あの時?」
「中学3年の時、俺、お前から手紙貰ってスゲェ嬉しかったんだ。でも、お前からの手紙、友達に読まれて・・・冷やかされたんだ」
「・・・・・・」
「ホントは嬉しかったのに、急に恥ずかしくなって・・・お前のこと、好きなんかじゃないって云っちまった」
曇りのない真っ直ぐな瞳が●●●を捉えている
「高校に入っても、クラスが分かれたから安心してたんだ。でも、今年、一緒のクラスになって、お前と前後の席になっちまって・・・あん時の自分を責められるんじゃないかって怖かった」
「そうだったんだ」
「お前が誰かに告白されたって聞くたびに、どっかで安心していたんだ。俺の一言で、お前が恋愛に臆病になっちまったんじゃないかって・・・でも、お前は誰とも付き合わなかった」
「そうだね・・・」
「そんなお前を見る度に怖くて怯えてた。お前に嫌われたくなかった」
「・・・・・・」
「お前が普通に話し掛けてくれるのが嬉しくて、でも、怖かった。だから、トラファルガーとのデート、無理やり漕ぎ着けて、お前を遠ざけようって思っちまった」
そこまで告げると、エースは俯いてしまった
「エース・・・私ね、確かにあの時は、凄く辛かった。今でも、誰かを好きになっても迷惑って思われるんじゃないかって考えちゃうの」
「・・・ッ」
「でもね?好きになったことは後悔していないの 」
「●●●・・・」
「だから、もう、自分を責めるのはやめよう?私、エースの事、そんな風に思ってないよ?」
「本当に、ゴメンッ!!」
直角に折れるように謝罪するエース
「エースは私の初恋だったんだよ?」
ニコリと笑う●●●は、夕焼けに染まり綺麗だった
「あのさ」
「ん?」
「その初恋・・・過去形にしないでくれ」
「え?」
●●●を抱き締める腕はきっと、震えていた
「 好きです。俺と、付き合って下さい・・・ 」
人生でこんなに緊張する場面があるだろうか?
そう思えるくらいに身体はガチガチで、声も上擦っていた
「傷付けて、悪かった・・・」
「・・・・・・うん」
きっと、あの時から
俺は■■■に恋をしていたんだと思う
俺にとっても、■■■が初恋なんだろう・・・
ポートガス・D・エースの初恋
「・・・ロー君に悪いことしちゃったね」
「そうだな・・・」
「エース、殴られるんだね」
「・・・それだけで済めば良いんだけどな」
END
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