「ロー君って、ゲーセンとか行くんだね?」

「あぁ。ベポの限定ぬいぐるみがあるから、よく来る」

「ロー君、ベポ好き?」

「嫌いじゃない」

「何それ!私も、ベポ好きなんだ!ほら、ストラップ」

「コレは・・・正月限定の紋付袴ベポ!!」

「私、コレ、2つあるから今度あげるね?」

「良いのか?」

「良いよ?」


柔らかく笑う●●●を見て、少しだけ胸が軋んだ

その胸の軋みが何なのか分からないまま、帰路に着いた


「ロー君?」

「・・・いや、何でもない」

「初めはちょっとビックリしたけど、今日は楽しかったね!」

「そうだな」

「でも、どういう行き違いでこうなっちゃったんだろうね?」

「ガス屋が勘違いでもしたのだろう」

「そそっかしいね、エースは」

「だな。だが、俺はそのそそっかしいガス屋に感謝しているぞ」

「え?」


何を感謝しているのだろう?

そう問い掛けようと振り返った瞬間、視界が暗くなった


「良いか、よく聞け」

「ロー・・・く、ん?」

「■■■、俺はどうやら、お前が好きみたいだ」

「・・・・・・えぇえええッ!?

「また、お前とこうしてデートがしたい。というか、付き合って欲しい」

「ロー君・・・」

「ダメか?」

「・・・・・・」

「■■■?」


暫く待っても返事はない

腕に収めていた●●●を見下ろす


「ゴメン・・・それは・・・」

「1つ聞かせてくれ」

「うん」

「他に好きな奴がいるのか?」

「・・・・・・」


好きなヤツ、そう云われて考え込む●●●


「私・・・」

「正直に云ってくれ」

「・・・怖いんだ」

「何が怖い?」

「・・・中学生の時、好きだった人に手紙で告白したんだ。でも、迷惑だって・・・」

「・・・・・・」

「自分の好きって気持ち、相手にぶつけて迷惑に思われてるって気付いた時、怖くなった。だから、誰も好きにならない・・・って決めたんだ」

「俺は迷惑じゃないぞ」

「ありがと・・・でもさ、私」


「■■■ッ!!」


■■■が何かを云おうとしたが、突然の大声に阻まれた


「ガス屋」

「ぇ、エース・・・!?」


息も上がって、ゼェハァと苦しそうなエースが目の前に居た


「トラファルガー、悪ぃ」

「何がだ?ガス屋」

「今日のデートの件、悪かった」

「別に迷惑はしていない。寧ろ、楽しかったからな」

「そうか」

「あぁ」

「でもよ、もう■■■のこと誘うのやめてくれねぇか?」

「随分と自分勝手だな?今日のブッキングはお前の魂胆だろう?」

「あとで、俺のこと殴っても構わねぇ。でも、■■■は渡せねぇわ・・・

「ほぉ・・・?」


今だにローの腕の中に収められている●●●を引き剥がす


「・・・え、エース!?」


何も云わず●●●の腕を引き、ローを置いて早々と歩きだす


「・・・中学の時の相手は、ガス屋・・・という事か」


ローは全てを察したようだった


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