短篇 | ナノ

エース


七夕の夜

あなただったら、何を願いますか?





「エース!」

「ん?」

「コレ、短冊なんだけど、願い事書いて!!」

「は?」

「あ、そっか、こっちの世界には七夕って概念がないんだっけ・・・」

「何だ?その七夕って・・・」


こっちの世界に飛んで来てから初めての七夕

白ひげ海賊団に拾われた私は、元居た世界の行事を教えた


「へぇ・・・で、この短冊ってのに願い事を書いたら叶うって云われてんのか」

「そうなの。で、今夜は七夕だから、エースも書いてごらんよ!」


笹は先日立ち寄った街でビスタさんに頼んで調達して来て貰った


「なに書いても良いんだろ?」

「そうだね。大概は自分の事だけど、相手の事を願っても良いみたいだよ?」

「ふ〜ん・・・」


私の説明を半分聞き流す感じで、短冊に願い事を書き始める


あ、間違えた!


エースは大声で叫ぶと、新しい短冊をくれ

仕方なく、新しい短冊を渡すと、再びスラスラと文字を書いている


「よし!出来た」

「書けた?」

「あぁ」

「じゃあ、甲板に笹を飾ってるから、そこに紐で括り付けておいて?私、今度はサッチに短冊渡して来るから!」

「分かった!やっとくから」


エースは嬉しそうに甲板へ走って行く


「あんなに嬉しそうに走って行って・・・そんなに叶えたい願いがあるんだね」


そう呟くと、サッチの部屋を目指した





「おぉ、エース。どうしたんだ?」

「ビスタ、コレ、この笹の1番高い所に飾ってくれ!!」

「どうしたんだ?」

「○○○に聞いたんだ。アイツの世界では、星に願うとそれが叶うんだって」

「ほぉ・・・では、1番高い場所に飾るとしようか」


ビスタは笹の1番高い場所に、エースの短冊を括り付けてやる


「お前は何を願ったんだ?」

「・・・秘密だ」

「そうか。では、詳しく聞くまい」

「叶うと良いな」

「そうだな」


まだ高々と昇っている太陽の光を浴び、エースの願い事が掛かれた短冊が海風に揺れていた


願い



「早く夜にならねぇかなぁ〜・・・」


“○○○が1日でも早く、自分の世界に戻れますように”

“○○○が1日でも長く、ここの世界に居ますように”


俺の願いは、どっちが強いのか

それは、神様しか知らないのかもしれない


END

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