短篇 | ナノ

マルコ


「・・・泣き過ぎだよい」

「だって・・・ぇえええ・・・グスッ」


共通の友人の結婚式に呼ばれた

勿論、席も隣りに宛がわれた


「お前、親族でも何でもねぇだろ?」

「それでも泣けるものは泣けるんです・・・グスッ」


コイツがあまりにも泣くモンだから、少々呆れている


「マルコは感動しないの!?」

「いや、してはいるんだが・・・」


お前があまりに泣くモンだから、俺は何か冷めてしまったというか冷静になっている


「新郎のお父さん、良いこと云ったよぉお・・・グスッ」

「○○○・・・お前さ」


最早、何でも泣ける理由になっているんじゃないか・・・?


新郎新婦入場から泣いてるだろ?

「だってぇ・・・グスッ」


細かく云うと、会場に着いて入口で出迎えられた時から○○○は泣いていた


「あんまり泣くと、化粧が取れるよい」

「もう、気にしないよ・・・私は今、感動しているんだから」

「気にしろ、アホ」

「・・・マスカラ、取れてる?」


涙目で、顔をこっちに向ける○○○


「・・・取れて、んのか分からんよい」

「何それ!?」

「暗いから、よく分からん」

「そっか。じゃ、大丈夫」


暗いなら大丈夫って、明るくなったらお終いだろい?

暫くすると、余興の時間に入り友人一同で作ったDVDを上映して貰った


「ねぇ、マルコ・・・」

「ん?」

「コレ、編集したのってマルコだよね?」

「あぁ。力作だよい」


友人一同で、1人1人にメッセージを書いて貰ってムービーを取り、敢えて音声を付けずに音楽だけで編集したものだった


「私・・・初めて観た」

「だろうねぇ」

「凄いよ・・・何で、こんな泣けるDVDにすんのぉ・・・?」

「そりゃ、結婚式だからだろ?って、また泣くのかよい!?」

「これ、焼いて、私にも頂戴?」

お前、花嫁じゃねぇだろ!?

「けど、欲しいよ」

「ハイハイ、分かったよい」


そろそろ終盤

“結婚、おめでとう”と文字が映し出された瞬間だった


『ハイ、以上、新婦様のご友人からのメッセージDVDでした』


司会者の言葉に耳を疑った


「まだ終わってないよい!」

「えぇえ!?」



今日1番の声を上げたと思う

しかし、まだあのDVDは終わっていないのだ


「ま、マルコ?」

「あのDVD、まだ続きがあるんだよい・・・」

「ありゃりゃ・・・ドンマイ」

「最後まで何で・・・あぁああ」

「“結婚、おめでとう”の文字の後にも、まだ続きあったんですって云って来ようか?」

「いや・・・イイ。何か、それも虚しいだろい?」

「そう・・・だね」


○○○とは違った涙が出そうになった


なみ脆い



「・・・で?お前は結局、最後まで泣いていたな?」

「最後の手紙も、式場の外でお見送りされるのも・・・グスッ」

「まぁ、式も終わったし、帰ってから好きなだけ泣けよい」

「そうだね・・・スマホの写真、見たら泣きそうだよ」

「お前、今日は泊まるなよ?」

「何で!?」

「・・・色々とメンドイ、今のお前」

「酷いよ!!ってか、貰ってきたお花も萎れちゃうから、泊めてよ〜」


結局、○○○が押し切る形で1泊しました


END


―――――☆―――――
ほぼ、100%実話です(笑)

もう、最初から最後までクライマックスでしたwww

一緒に参列した同僚からは「身内でもないのに泣き過ぎ(笑)」と笑われてました。

私は、幸せで胸がいっぱいになり、ご飯でお腹がいっぱいになった結婚式でした☆

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